E 高機能化・多機能化


数多くあるプログラム、関数電卓の中で代表的なものを掲載。
関数電卓デスクトップfx-1(カシオ 1972)
ハンディタイプ HP 35 (Hewlett-Packard 1972)
fx-10 (カシオ 1974)
プログラム電卓デスクトップ AL-1000 (カシオ) (1967)
AL-2000 (カシオ) (1967)
162P (キヤノン) (1968)
セイコー S-300 (服部時計店) (1969)
207 (ビジコン) (1969)
P-100 (日立) (1971)
CS-361P (シャープ) (1970)
ICC-2500 (ソニー) (c1970)
モデル10 (YHP) (c1973)
PC-1001 (シャープ) (1973)
ハンディタイプ HP 65 (HP) (1974)
PRO-101 (カシオ) (1976)
音声機能 CS-6500 (シャープ)
Panasonic Compu Voice (JE-720U) (松下)
TA-1000 (カシオ)
TALKING CALCULATOR (京セラ)
カード読取り式
表計算機能
PR-144 (カシオ) (1967)
PA-8000 (カシオ)
データバンクPF-3000 (カシオ) (1983)
グラフ表示fx-7000G (カシオ) (1985)
電子手帳、電子家計簿 PA-7000 (シャープ) (1987)
CHECKBOOKV (Canon)
EL-6100 (シャープ)
CS-1000D (シャープ)(1984)
DK-700(カシオ)(1988)

fx-1(カシオ)

1972年に発売された世界で最初の関数電卓の一つ。
325,000円。


HP 35 (Hewlett-Packard)

1972年に発売されたヒューレット・パッカード社最初のポケット電卓。
世界で最初のポケットサイズ関数電卓でもある。
キーが35個あることからこの名前となった。
同社の共同創業者である William Hewletto はこの製品のサイズを決めるにあたり、自分の胸ポケットに入ることという条件をつけた。彼が長身で大きめのシャツを着ていたことはHP-35の設計者にとって幸運であった(ペギー・キドウェル他「デジタル計算の道具史」ジャストシステム)。
基本的な四則演算(加減乗除)しかできなかった当時のほかの電卓とは違って、計算尺でできるすべての関数演算などが可能だった。HP-35の登場で、計算尺は廃れていったといわれている。
 HP-35の発売当時の価格は395ドルと高額だったが、予想を上回る需要があり、最初の1年で10万台以上売れたという。

 HP-35は「いつでもどこでも、ほぼ瞬時に正確な科学演算ができるようにしたことで、技術変化のペースを速め、エンジニアリングに革命を起こすのに貢献した」と高く評価され、2009年4月にIEEE(電気電子技術者学会)から「IEEEマイルストーン」に認定された。
電卓については、2005年12月シャープの電卓、CS-10A、CS-16A、QT-8D、EL-805が認定されたが、それ以来の認定である。



fx-10 (カシオ)

最初のポケットサイズ関数電卓。
1974年5月発売。
10関数。価格24,800円。





プログラム電卓


東京理科大学 近代科学資料館所蔵

AL-1000 (カシオ)

1967年10月に発売された。
プログラムをソフトウェア化し、一連の命令をキーボードで簡単に記憶装置に入力できるようにした世界で最初のプログラム付電卓。
14桁の演算レジスター・記憶レジスター(4組)・プログラム記憶装置(30ステップ、15ステップ2組に分割可能)を全て磁気コアで形勢させたので、普通の電卓と同程度の小型化が実現した。
価格も普通の電卓と比べ3割程度しか高くなかったので、国内はもとより欧米各国でも非常な人気を博し、ベストセラー電卓となった。

380(W)× 445(D)× 230(H)mm 。11kg。
当時の価格328,000円。



東京理科大学 近代科学資料館所蔵

AL-2000 (カシオ)

1969年発売。
当時の価格318,000円。

ALシリーズとしては他に、AL-1000が発売された1966年の翌年にAL-1000Sが 発売された。




162P (キヤノン)



東京理科大学 近代科学資料館所蔵

S-301 (Seiko:服部時計店)

服部時計店が発売した電卓。
服部時計店は1969年はじめに電子式卓上計算機に進出。
わが国初のプリント式電卓S-300を695,000円で発売するが、このS-301はS-300の後継機。1971年ごろ発売されたものと思われる。
表示機構には表示管は使わず新しいプリント方式を採用している。価格は795,000円。

仕様
プログラム装置 命令26種類 容量 最大153ステップ
          プログラム命令内に定数挿入可能。
          ジャンプ機能を有する。
演算桁数    置数・加減算  23桁
          乗算 22桁×22桁 積22桁
          除算 22桁÷22桁 商22桁
          平方根 √22桁   根22桁
メモリー     6語 内1語は累計メモリー(各23桁+符号)
          各々2個のメモリー(11桁+符号)に分割可能
演算素子    IC
寸法・重量   424(W)×487(D)×177(H)mm。19.5kg。


Photo

207 (ビジコン)

1969年に発売された。



Photo

P-100 (日立)

1971年に発売された。



Photo

CS-361P (シャープ)

1970年に発売された反復計算、開平機能付きプログラム電卓。
一度計算式をプログラミングすればあとは変数を置換するだけで演算できる。
16桁、2メモリー。
315,000円。




東京理科大学 近代科学資料館所蔵

SOBAX ICC-2500 (ソニー)

1969年10月に発売された。
当時の価格328,000円。




Photo

モデル10 (Hewlett-Packard)




Photo courtesy : Mr.Y.Tsuji

PC-1002 (シャープ)

PC-1001の後継機。1974年発売。
149,000円。

PC-1002はPC-1001と同様、15種の組込み関数及び12種の組込みプログラムを装備し、科学技術計算がワンタッチでできた。
また、64ステップのプログラム機能が付いており、複雑・高度な反復計算が可能で、測量、土木、統計、科学技術分野で使用された。




Courtesy of Mr.Joerg Woerner

HP65 (Hewlett-Packard)

1974年に発売された。世界で最初のプログラム可能なポケット電卓。
プログラムを保存するためのカードリーダーを備えていた。
世界で最初のコンピュータであるMITS-Altairより一年前に発売されたにもかかわらず性能的にははるかに進んだ機能を持っていた。
当時の価格は$795と、プリント機能のついていないポケット電卓の中で最も高価であった。



PRO-101 (カシオ)

1976年に発売された。



音声機能

CS-6500 (シャープ)

1980年に発売された世界で最初の音声電卓。
先進の音声合成技術を用い演算の経過や結果などを音声で伝えることで計算の正確性を高めようとした。
この技術は、その後、時計や電子レジスタにも応用された。
16桁、1メモリー。

JE-720U (ComuVoice) (シャープ)

音声電卓。音声で計算が確認できるためキーの押し間違いをなくすことができる。国内版National JE-720の海外向けバージョン。故障しているため声は聞けないが、おそらく英語を話すと思われる。CPUは日立製だが、音声制御はNEC製のチップで行っている。スピーカーはかなり大きく重量がある。単3電池3本で音声使用時70時間、計算のみ10,000時間使用可。高さ31×幅75×奥行145mm。重さ180g。12,500円(JE-720)。日本製。



TA-1000 (カシオ)

ボタン型電池(2032)を2個使用した、音声機能付き携帯電卓。
カレンダー、時刻機能が付いている。
音声機能は女性の声で、数字、日付、時刻読上げとタイマー6種類(お約束の・・・、ミーティングの・・・、お寝覚めの・・・などと発声する)を読み上げる。
擬音発生は、ピンポーン、カッコウ(鳥の鳴声)が付いている。
(立てかけ用のスタンドが欠けている。)


TALKING CALCULATOR (京セラ)

京セラの音声電卓。
計算結果を9カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語、インド語、インドネシア語、イラン語、アラビア語)で発音する。



カード読取り式


Photo

PR-144 (カシオ)




データバンク

 

PF-3000 (DATA BANK) (シャープ)

1983年にカシオから発売されたデータ登録機能を持った電卓。

機能としては、計算機能のほか、電話帳、メモ、スケジュール、ファイル記憶機能を搭載。
入力は五十音入力で最大3,009文字入力可能。またRAMパックも増設できた。
液晶ドットマトリックス表示で12桁表示できたが、アルファベットと数字入力のみで漢字機能は付いていなかった。

その後、1987年にはシャープから漢字機能付の電子手帳PA-7000、カシオから同じく漢字機能付の電子手帳DK-7000が発売され電子手帳、PDA(携帯情報端末)へと進化していくが、PF-3000は先駆けとなった製品である。


PF-8000 (DATA BANK) (カシオ)

1984年にカシオから発売された手書き入力機能の付いた電子手帳。
液晶ドット表示が可能になり、数字の他、記号や英文字も表示できるようになると、入力用のボタンの数が増えることから、手書き入力機能が採用された。
この機能は最近のPDAにも採用されているが、当時の入力認識機能には技術的に制約が強く、入力認識が可能な書き順が示されていた。
1984年度グッドデザイン選定商品。
12,800円。

文字入力書き順


グラフ表示

fx-7000G (カシオ)

 1985年に発売された世界で最初のグラフ関数電卓。
 液晶ドット表示を採用することで、任意の関数グラフや統計グラフ(棒・折れ線・正規分布曲線・回帰曲線など)が表示できた。
 米国スミソニアン博物館に所蔵されている。

 19,800円。




電子手帳、電子家計簿

PA-7000 (シャープ)

1987年に発売された最初の 本格的電子手帳。
ICカードを差し替えることで、国語辞典や関数計算機、拡張電話帳、英会話辞典、ゲームなど様々な活用ができた。また、本体左側の端子を使ってパソコンとリンクしたり、プリンターと接続したりすることができた。




CHECKBOOKV (キヤノン)

金銭管理用電卓。
主に欧米で販売された。

タイで生産されたもの。
箱は台湾で印刷された。


電子家計簿エルシーママ(EL-6100) (シャープ)

予算、日計、支出累計をそれぞれ最大12項目に分けて管理。支出割合は円グラフで表示することができる。
ブック型ケース・ノートが付いていた。
187(W)×257(D)×10(H)mm。475g(電池を含む)。価格19,800円。

この他、各分野のセールスの売上げ管理、部品、商品の発注管理などが可能なビジネスメイト(EL-6101)もあった。サイズ、重量などはEL-6100と同じ。



CS-1000D (音声時計・メモ機能付き電卓) (シャープ)

1984年に発売されたSHARPの電卓発売20周年記念電卓。
音声時計機能(ワンタッチで現在時刻を音声で知らせる。アラーム機能)。
電話帳、住所録、予定表を記憶し、必要な時はすぐに呼び出せる電子メモ機能。
商品名と価格、換算名と換算係数など文字データと数値データをメモして売上合計額を計算。
氏名、会社名の順にメモすれば、氏名でサーチ(検索)できる第1サーチ、会社名でサーチできる第2サーチの2項目によるサーチ(ダブルサーチ)が可能。


CL600 (セイコーインスツルメンツ)

セイコーインスツルメンツ株式会社(SII) より発売された辞書機能付き電卓。
三省堂の「デイリーコンサイス国語辞典」及び「ことばの手帳・四字熟語」に基づき、三省堂の協力を得て編集した辞書機能を搭載している。

国語辞典機能の他、総画、部首、音訓による漢字検索機能、四字熟語のゲーム機能などを持っている。
単3電池日本を使用。
中国製。


DK-700 (カシオ)

カシオより1988年に発売された卓上型漢字電子手帳。
12桁電卓機能のほかに電話帳、名刺管理、メモ、カレンダー、スケジュール、漢字辞書機能を搭載している。
データ転送ケーブルを介してDK-700どうしあるいはカシオの電子手帳とのデータ交換ができた。
12桁×3行表示。
32KRAM。単3電池4本とボタン電池使用。
BK(ブラック)とSR(シルバー)の2タイプ発売された。