ポケットタイプ関数電卓

電卓のキーは数字キーと四則演算キーそして場合によってはメモリーキーからなるが、関数電卓についてはそれ以外に数多くのキーが必要とされる。
しかしポケット電卓は大きさに制限があるため、数多くのキーを配置するための様々な工夫がなされている。
また、その多くはビジネスユースを目的としているため、黒を基調とした地味なデザインのものが多く、あくまで実用本位のデザインが採用されている。
こうしたことから関数電卓はどれも精悍な顔つきをしている。
各社の代表的な関数電卓は以下の通り。

HP 35

1972年に発売されたヒューレット・パッカード社最初のポケット電卓。
世界で最初のポケットサイズ関数電卓でもある。
キーが35個あることからこの名前となった。
同社の共同創業者である William Hewletto はこの製品のサイズを決めるにあたり、自分の胸ポケットに入ることという条件をつけた。彼が長身で大きめのシャツを着ていたことはHP-35の設計者にとって幸運であった(ペギー・キドウェル他「デジタル計算の道具史」ジャストシステム)。
基本的な四則演算(加減乗除)しかできなかった当時のほかの電卓とは違って、計算尺でできるすべての関数演算などが可能だった。HP-35の登場で、計算尺は廃れていったいわれている。
 HP-35の発売当時の価格は395ドルと高額だったが、予想を上回る需要があり、最初の1年で10万台以上売れたという。

82(W)×145(D)×25(H)mm。



2009年4月、HP-35はIEEE(電気電子技術者学会)から電気電子技術分野の歴史的偉業として「IEEEマイルストーン」に認定された。
同認定は歴史的・社会的に大きな価値を持ち、かつ25年以上に亘って評価に耐えていることを条件として行われるものであり、'83年の制定以来、世界初のコンピュータであるENIACをはじめ、ボルタ電池やフレミングの二極管など65件が認定されている。

電卓については、この他、2005年12月シャープの電卓、CS-10A、CS-16A、QT-8D、EL-805が認定されている。

同認定は歴史的・社会的に大きな価値を持ち、かつ25年以上に亘って評価に耐えていることを条件として行われるものであり、'83年の制定以来、世界初のコンピュータであるENIACをはじめ、ボルタ電池やフレミングの二極管など65件が認定されている。

 「HP-35はいつでもどこでも、ほぼ瞬時に正確な科学演算ができるようにしたことで、技術変化のペースを速め、エンジニアリングに革命を起こすのに貢献した」と高く評価されている。

fx-10

カシオはfxシリーズとして様々なポケットサイズの関数電卓を発売した。
fx-10は1974年5月に発売された最初のポケットサイズ関数電卓。
10関数を搭載。

95(W)×150(D)×33(H)mm
330g。
価格24,800円。



カシオ関数電卓 (fx シリーズ)


EL-5001 (Pythagoras) 

シャープも様々なタイプの関数電卓を発売したが、特にピタゴラスシリーズが有名。
EL-5100は1977年に発売されたピタゴラスシリーズの関数電卓。
関数の選択を関数ダイヤルを回すことで行うことでポケット電卓ながら60関数を搭載した。

10桁けい光表示。
87(W)×164(D)×26(H)mm。215g。単3×2(8時間使用可)。
13,800円



NC-77 (TAMAYA TCHNICS:タマヤ計測システム) 

タマヤ計測システムは、江戸時代の初期[1975年)に創業された老舗の企業。
当初は「玉屋」の称号で眼鏡販売を手がけていたが、正しい焦点距離を保つ技術の蓄積を生かし扱う分野が眼鏡から計測器へとシフトしていった。
電卓の高機能化、複合化が進む中で、同社はシャープと協力して航法計算機能付き電卓を発売した。
同社は、現在もセイコーエプソンの100%持株会社として計測機器の販売を続けている。

NC-77は、1978年に発売され91年まで販売された航法計算(Navigation)機能付き電卓。
精密な計測を行う用具として内部にフェルトを施した木箱に入れて販売された。
本体はシャープが製造した。

同社からはこのシリーズとして、NC-2、NC-88、NC-99、NC-2000が発売されている。


F-7

キヤノンはFシリーズとして数々の関数電卓を発売した。

F-7は単位換算機能が付いた最高級関数計算機。
"すべてに最高性能" を目標に、幅広い計算機能を持つように設計され、ユニークな単位換算機能を持つ。キーボード配列、表示パネルやデザインなどに人間工学設計に基づいた操作性を採用。


単3電池4本またはDCアダプター使用。
175(D)×86(W)×48(H)mm。370g。
69,800円(本体)(NiCdバッテリーパック・チャージャー別売 5,000円)。

キヤノン関数電卓 (F シリーズ)


S-1 (JE-5001)

松下電器が発売したもの。


88SR

オムロンは非常に多くのポケット電卓を発売したが、その中には関数電卓もかなりある。
関数電卓は製品の型番に"S"を付けて表示しているようである。

X-11S

リコーが発売した関数電卓(Xシリーズ)。
大学時代お世話になった。


Mini Handy 80SR

栄光ビジネスマシン社から発売された設計・土木・建築・電気・電子・化学分野の科学技術計算がワンタッチでできる薄型関数電卓。

8桁1メモリー。表示間は赤色発光ダイオードを使用。
単3電池3本またはACアダプター使用。152(D)×80(W)×20.5(H)mm。210g。MOS-LSI 1個使用。64,800円。




N-60

Commodoreが発売したナビゲーション電卓。
60ものキーが付いいている。
英国製だが部品の多くは日本製である。



Elektronika MK 61

ソビエト連邦で1983年から1993年の間に製造された第3世代の non-BASIC RPN プログラム電卓。当時の価格は85ルーブル。

単3電池3本又はACアダプター使用。





集計機能付きカウンタ