Sharp desktop calculator

シャープは(当時早川電機工業)は、1964年3月世界で最初に トランジスタを使った電卓「CS-10」を発表したした後、常に世界の電卓市場をリードした会社である。シャープで電卓開発を指揮したのは 1964年に神戸工業から移籍してきた佐々木正である。佐々木は三菱電機に電卓用ICの開発を働きかけ、開発したICを組み込み、1967年2月「CS-31」として製造、発表した(CS-31には、三菱製バイ ポーラ型ICが演算回路として28個搭載されていた)。
 次に佐々木は、MOS型 ICの開発に取り組んだ。バイポーラ型は速度が速く安定性にも富んでいたが、消費電力が大き く、高集積化には不向きである。佐々木は1966年にNECと日立製作所にMOS型ICの開発を極秘に依頼した。1967年12月にはシャープは日立が開発したMOS型ICを用い、「CS-16A」を製品化した(CS-16AにはMOS型ICが56個使用されている)。CS-16Aの価格は23万円で、消費電力もCS-31に比べ40%削減されているが、まだ10Wと大きく、重量も4kgあった。
 佐々木は、これをさらに小型化するため、MOS型のLSIの活用をめざし、半導体メーカーに対し働きかけを行った。国内や米国の半導体メーカーが尻込みする中、ノースアメリカン・ロックウェル社はLSIの製造、開発に名乗りをあげた。1969年ロックウェル社の開発したLSIを使用しシャープは世界で最初のLSI電卓「QT−8D」を10万円で割る価格で発表した(QT-8DにはこのLSIが 4個を搭載されている)。
 2005年12月シャープの電卓、CS-10A、CS-16A、QT-8D、EL-805は、世界的な電気・電子学会であるIEEEより、権威ある『IEEE マイルストーン』に認定された。同認定は歴史的・社会的に大きな価値を持ち、かつ25年以上に亘って評価に耐えていることを条件として行われるものであり、'83年の制定以来、世界初のコンピュータであるENIACをはじめ、ボルタ電池やフレミングの二極管など65件が認定されている。日本からは、'95年に八木アンテナ(東北大学)、2000年に富士山頂レーダー(気象庁、三菱電機)および東海道新幹線(JR東海)、2004年にセイコークォーツ(セイコー)がそれぞれ認定されており、シャープの電卓は5件目となる。





左からCS-10A、CS-16A、QT-8D、EL-805


IEEEから贈呈された楯


1964年世界で初めて完全ソリッドステートタイプの電卓(CS-10A)を発明
1966年世界で初めて完全IC化試作機(CS-31A)を発表
1967年世界で初めてモスIC(集積度の極めて高いIC)を使いこなし完全IC化に成功(CS-16A)
1968年世界で初めてLSI(大規模集積回路)を使った超小型機(試作機)を発表
1969年世界で初めて完全ELSI(多機能大規模集積回路)化した”電子ソロバン”(QT-8D)を発表
1970年世界で初めて電子プリンタ機を発売
1971年世界一小さい電子ソロバン(EL-8)を発売
<カタログ>





QT-8Dへの歩み
機種名特徴 大きさ
(W-D-H)(mm)
重量価格部品
1964CS-10A世界初のトランジスタ計算機420-440-25025kg\535,000トランジスタ350個、ダイオード2300個
1965CS-20Aシリコントランジスタ計算機
16kg\379,000
1966CS-31A世界初のIC(バイポーラ型)計算機400-480-22013.2kg\350,000IC28個、トランジスタ533個、ダイオード1549個
1967CS-16A世界初のIC(MOS型)計算機

\230,000IC56個
1969QT-8D世界初のLSI計算機135-247-721.4kg\99,800LSI4個、IC-2個


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CS-10Aの紹介記事 
Courtesy of Mr.T. Hirano

CS-10A (Sharp : Hayakawa electric)

東京理科大学 近代科学資料館 常設展示中
 CS-10は、シャープ(当時は早川電機)が1964年3月に発表し、7月に発売した世界で最初に販売されたオールトランジスタ電卓である。
当時主流のゲルマニウム素子を演算回路に用いたもので、トランジスタ 530本、ダイオード2300本使用していた。重量は25kgもあり、価格は535,000円と当時の乗用車と同じくらい高価でありながら計算機は四則 演算のみしかできないしろものであった。Anita 8と同様フルキータイプを採用していた。当時の価格は53万5000円と車が買えるほど高価だった。(当時車の価格は54万円程度)。
420(W)×440(D)×250(H)mm。25kg。

CS-10A 関連の新聞記事(1964年)
1964年
3月18日
発表
価格未定
5月29日 新聞広告
価格未定
7月31日 新聞広告
価格535,000円
問合せ先 早川電機東京支店特機営業部
10月20日 新聞記事
クスダ事務機は早川電機と協力し卓上計算機を開発、シャープ・コンペットの名で発売。
10月31日 新聞広告
販売代理店 クスダ事務機株式会社、兼松事務機械販売株式会社
1965年
1月15日
新聞広告
昨年7月の発売以来すばらしい好評を続け、6ヶ月間で、すでに700社以上の全国一流会社へ納入されました。
2月14日 新聞広告
短期間で1000台納入
これほどの実績は他にありません。大企業から商店からご注文が殺到! 海外の引合いもあとを絶ちません。

1964年7月31日広告

(3月19日付 日本経済新聞からの抜粋)
同計算機の規格は、計算桁数が20桁、計算速度が加算で毎秒80回、減算60回、乗算2.5回、除算1.2回、重量25kgとなっており、電動式の卓上計算機に比べて計算速度が速く、騒音や振動が全くでないのが特色。価格は一台50万円前後で当初の月産目標は300台前後。

CS-10A は、IEEEよりマイルストーンに認定され、大英科学博物館のコンピューター・情報処理機器コレクションに加えられた他、2011年には情報処理学会の「情報処理技術遺産」にも認定された。
シャープ、39・56年発売の電卓2機種が大英科学博物館に展示される。
(1984/04/11, 日経産業新聞 抜粋)
 シャープは十日、同社が昭和三十九年に世界で初めて開発・発売したオール・トランジスタ・ダイオード式電卓「コンペットCS―10A」=写真右=と、五十六年に発売した太陽電池付きカード電卓「エルシーメイトEL―835」=写真左=が大英科学博物館(ロンドン市)のコンピューター・情報処理機器コレクションに加えられ、展示されたと発表した。
 CS―10Aはそれまで機械式か真空管式だった計算機の回路を初めて個別半導体に置き換えた製品で、その後の計算機の小型化、高速化の先駆けとなった。当時の販売価格は五十三万五千円。一方EL―835は厚さ一・六ミリメートルのカードサイズ電卓で、演算機能はCS―10Aより優れている。価格は発売当時五千八百円。この二製品の対比は十七年間のエレクトロニクス技術の進展ぶりをまざまざと示している。
 大英科学博物館には十八世紀の化学実験器具やアポロ10号など科学史をつづる約五十万点が所蔵されている。シャープは「日本の電卓が展示されたのはおそらく初めてではないか」と説明している。

朝日新聞 2011.2.24.













Photo Courtesy ; The Old Calculator Web Museum

Compet 20 (CS-20A)

CS−10Aが発売された翌年、1965年9月に発売されたシャープ最初のテンキー式電卓。
CS-10A はゲルマニウムトランジスタを使用していたが、演算速度が遅いこと、また温度に弱いため信頼性の保持が難しかった。
CS-20A はこうした欠点を克服するため当時としては新しかったシリコントランジスタを用いた。この結果、演算速度が速く、温度に対する安定性が増した。
部品点数もCS-10A の半分になり、値段も379,000円になった。
1965年Gマーク商品。

演算機能は最大14桁。加減乗除、連乗連除、積和、積差、混合計算、定数計算さらに開平、開立も可能。
使用トランジスタ 630本。
使用ダイオード 1980本。

他に、2重打防止装置、小数点は自動位取り、(+)(-)符号は自動表示、3桁の0が一度で置換できるスリーゼロキー、オーバーフローエラーを自動検出可能。

22(H)×40(W)×48(D)cm。16kg。

販売代理店は、クスダ事務機株式会社、兼松事務機械販売株式会社、吉沢ビジネスマシンズ株式会社。

Photo courtesy : Mr.S・Y
操作キーの説明






日本経済新聞 (1965.10.6.)


Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

Compet 15 (CS-15A)

1966年11月に発売されたトランジスタ電卓。
計算機専用に開発されたシリコントランジスタを使っているため、演算は超高速、しかも動作は常に安定している。
W400 X D480 X H220mm / Weight : 12.5Kg
当時の価格 235,000円。




Photo

Compet 21 (CS-21A)

1966年に発売された。
自乗・開平機能が付いた。

40(W)×48(D)×22(H)cm。
当時の価格435,000円。





Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

CS-30Bの広告
海外で販売された時の広告。
国内で販売されたか否か不明。

Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

Compet 30 (CS-30A)

1966年に発売された。
メモリー装置を採用したことで百分率計算、按分比率計算、各種割引計算が非常に簡単な操作でできるようになった。

40(W)×48(D)×22(H)cm。
当時の価格425,000円。




Compet 31 (CS-31A)

1966年10月発表。1967年2月発売された世界初のIC(バイポーラ型)計算機。実用機としては世界最初のIC電卓。
記憶装置にIC28個使用。そのほかトランジスタ553本、ダイオード1549本使用。
価格は350,000円。



Photo courtesy : Mr.S.Takizawa

Compet 32 (CS-32A)

1967年に発売されたIC(バイポーラ型)計算機。
記憶装置2個付き、事務計算から技術計算までできる万能機。
価格は350,000円。






Photo

Compet 32C (CS-32C)

1969年に発売されたIC電卓。
磁気コア 演算レジスター2個、メモリー2個。
IC 22個
トランジスタ 317本
ダイオード1,200本。
20W。

310(W)×113(H)×405(D)mm。6.6kg。
350,000円。





Photo courtesy : Mr.S・Y


Compet 16 (CS-16A)

東京理科大学 近代科学資料館 常設展示中
 1967年12月に発売されたMOS型ICを使った世界初のオールIC電卓。
当初大量のトランジスタを使用した電卓は小型化のためにICの使用が避けて通れなかった。このためシャープは1966年10月に世界最初のIC電卓CS-31Aを開発・発売し、翌年12月にはCS-16Aを開発・発売する。
ICにはバイポーラICとMOS・ICがあるが、当時主流を成していたのは大型コンピュータに使われていたバイポーラICであった。MOS・ICは、当時開発されてまもない新しい技術で不安定な要素があり演算スピードもバイポーラICに劣ったが、大規模集積化に適し、しかも消費電力が小さいという魅力があった。CS-16Aは世界で最初にMOS型ICが使われた。CS-16Aは、MOS型ICを使うことで3494個必要とされた回路部品をわずか56個のMOS型ICに置き換えることに成功した(60分の1)。この結果、部品点数のみならず容積を抑えるとともに、価格は23万円まで低下させることに成功した。
ちなみにこれはトランジスタを使用したCS-10Aと比較し、部品点数で15分の1、容積で3分の1、重さで6分の1にあたる。

CS-16Aは、ICの使用だけでなく表示管についても世界で最初に蛍光表示管を使用するなど先進的な電卓であった。当時の電卓については、一部を除いて米国バローズ社が特許をとっていたニキシー管を使用した。しかし、当時ニキシー管は、消費電力が大きく、特許料が高かったうえバローズからはニキシー管を使った電卓をアメリカには輸出しないという条件を要求されていた。このためシャープは、何としてもニキシー管を使わない電卓を作る必要があった。シャープの佐々木氏からの要請を受け、当時日本電子材料(株)の社長であった大久保昌男氏は蛍光表示管を発明した。また、神戸工業にいた中村正氏は、同社を退職し、伊勢電子工業(株)を立ち上げ、その量産化に成功した。こうして生産された世界で最初の蛍光管はCS-16Aに搭載された。
CS-16A の登場以後電卓はMOSと蛍光表示管の組み合わせが基本となり、様々な電卓は以後この路線を走ることになる。その意味でCS-16A の果たした役割は非常に大きいといえる。

2005年12月シャープの電卓、CS-10A、QT-8D、EL-805及びCS-16A、は、世界的な電気・電子学会であるIEEEより、権威ある「IEEE マイルストーン」に認定された。同認定は歴史的・社会的に大きな価値を持ち、かつ25年以上に亘って評価に耐えていることを条件として行われるものであり、CS-16Aの電卓発展に果たした役割が世界的に評価された結果といえる。

294(W)×117(H)×317(D)mm。4.0kg。
230,000円。

日本経済新聞 1968.5.23.





世界で最初に蛍光管電卓を搭載
非常に滑らかな文字の形をしていた。



MOS-IC





Photo Courtesy ; The Old Calculator Web Museum

Compet 16 (CS-16S)

CS-16Aと比べ、表示管の文字のデザインが大きく変わった。


CS-16D

1969年に発売された。
12桁記憶装置付標準機。
定数計算、ベキ計算が可能。
230,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y


CS-18D

1969年に発売されたオールMOS-IC電卓。
12桁記憶装置付標準機。

317(W)×294(D)×133(H)mm。4kg。

155,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y
操作キーの説明




Photo

CS-22C

1969年に発売された。
14桁記憶装置付高級機。
定数計算、ベキ計算が可能。

MOS IC 83個
トランジスタ 75本
ダイオード 348本。
ダイオードアレー 17個。

294(W)×317(D)×117(H)mm。4kg。

260,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y




CS-33A

1969年に発売された16桁記憶装置2個付事務用万能機。
IC,磁気コアで高信頼、高性能を実現した。
演算機能が豊富。

IC 22個。
磁気コア 演算レジスター 2語。メモリー 2語。
トランジスタ 300本。
ダイオード 1,100本。

310(W)×405(D)×113(H)mm。
6.6kg。

265,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y
操作キーの説明



Photo

CS-50A

1968年に発売された16桁(数字14桁、記号2桁)電卓。
演算と同時に印字。

IC 218個。
トランジスタ 116本。
ダイオード 336本。
コアメモリー SCR 20個。

400(W)×538(D)×190(H)mm。
19kg。
495,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida


Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

Compet 12 (CS-12A)

1969年に発売された12桁実用機。
オール MOS-IC 設計。
定数計算が可能。

294(W)×317(D)×133(H)。3.4kg。
当時の価格12万9千円。

Courtesy of Mr.T. Hirano







Photo courtesy : "MANAKOTTI"

FACIT 1125 (FACIT)

FACIT はスウェーデンの機械式計算機のメーカー。
電卓分野の進出は遅れ、ほとんどの電卓はシャープからのOEMによった。
FACIT 1125もシャープが製造した。
チップには  Small-scale IC logic を使用している。



FACIT 1101


Photo courtesy : Mr.Hans Bloemen

FACIT 1127 (FACIT)

同じくシャープから OEM 供給を受けた電卓。



FACIT 1101









QT-8D

東京理科大学 近代科学資料館 常設展示中
 1969年発売されたMOS-LSI搭載電卓。
しばしば世界で最初のMOS-LSI搭載電卓といわれる。
LSI4個、IC2個使用。

幅135(W)×247(D)×72(H)mm。1.4kg。
99,800円と初めて10万円を切る価格で発売された。

※「世界で最初のMOS-LSI搭載電卓」について
LSIの搭載については注意が必要である。
世界で最初にMOS-LSIを搭載した電卓は、1968年4月に発売された三洋電機のサコムICC-141型と同ICC-161型である。
三洋電機は1968年になって初めて電卓分野に進出するが、その最初の電卓サコムICC-121型、同141型、同161型のうち141型と161型は記憶装置にモス型のLSIがそれぞれ3個が使われていた。

一方、QT-8Dは、試作機が1968年10月末に完成し、11月に発表された。日経新聞によると、
「早川電機工業は10月31日超小型電子式卓上計算機を開発したと発表。
この電子ソロバンは電子回路をすべてLSIで構成した世界で初めての計算機。
LSIは日立製作所と共同で開発したもので全部で10種11個使っている。
発売の時期は未定。15万円以下で発売する予定。」

シャープは国内の半導体メーカーが量産しようとしなかったことから、米ロックウェル社に半導体の製造を依頼し、ロックウェル社の技術を取り入れて再度設計したことから、実際の発売は翌1969年末にずれ込んだ。
三洋の場合はLSIは記憶装置のみで使われていたのに対し、シャープは演算回路などにも使われており、一歩進んでいるのは間違いない。

すなわち「世界で最初のMOS-LSI搭載電卓」ではなく「電子回路をすべてLSIで構成した世界で最初の電卓」というのが正しい。


※MOS-LSIの開発経緯
1967年59個のMOS-ICを実装した世界で最初のMOS-IC電卓CS-16Aを発売したシャープの次の狙いはMOS-LSIを搭載した電卓の開発であった。通産省からの補助金を受けて開発に着手したシャープは1968年末に10種11個のLSIチップを使った電卓の試作に成功し発表を行った(下の写真)。しかし当時のパターン処理技術では必要な精度を得ることができず国内の半導体メーカーからの協力も得られなかった。

苦境にあったシャープに手を差し伸べたのはノースアメリカン・ロックウェル社である。シャープはロックウェル社とLSIを共同開発する中で、ロックウェル社から均一な内部結線回路定数を利用したレシオレススイッチング回路、ブーストトラップバッファ回路といった当時アポロ宇宙船にも使われた最先端の回路システムを教えられた。この結果1969年12月にはLSI 4個を搭載した8桁電卓QT-8Dの発売が実現した。試作品と比べLSIが11個から4個に減ったため非常にスリム化された。シャープは、「電子そろばん」というキャッチフレーズを用い、価格は電卓で初めて10万円を切る99,800円に設定された。

QT-8Dは電卓市場に大きなブームを引き起こし、両社は莫大な利益を手にする。QT-8Dの成功は電卓のMOS-LSI化の流れを一気に加速し、その後のワンチップポケット電卓の登場につながっていく大きな役割を果たした。またこれをきっかけに日本の電卓メーカーとアメリカのLSIメーカーの協力関係が一層進展した。


※IEEE マイルストーンの認定
QT-8Dは、2005年12月、CS-10A、CS-16A 及びEL-805とともに世界的な電気・電子学会であるIEEEより、権威ある「IEEE マイルストーン」に認定された。同認定は歴史的・社会的に大きな価値を持ち、かつ25年以上に亘って評価に耐えていることを条件として行われるもので、QT-8Dの電卓技術発達過程における役割がいかに大きかったかを物語っている。



→電子科学1970年7月号記事

1968年末QT-8D 試作機発売時の雑誌記事。
LSIを 10種11個使用していた。





QT-8B:QT-8Dに充電池を搭載したもの





日経新聞広告(1970年2月)


米国での発売当時の雑誌記事


QT-8Dの巻尺





Photo courtesy : Mr.Frank Boehm

X (ADDO)

ADDO 社はスウェーデンの計算機メーカー。1960年代に電動機械式計算機を作っていた。
このXはシャープのQT-8DのADDO社へのOEMバージョン。






Compet 361

1969年11月に発売された16桁デスクトップ電卓。2つのメモリーを持つ(実機は"MR"キーが欠けている)。内部はトランジスタ、ダイオードがぎっしり配列されている。ディスプレイ部分は手前に引き出すことが可能。基盤には磁気コアメモリーがついている。デザイン的にも優れておりGマーク商品に選定されている。
119(H)×340(W)×421(D)。 7.5kg。
当時の価格250,000円。



Sharp desktop

361R


Cimpet 361 に第2メモリーを定数ダイヤルとして乗・除算を行う「第2メモリーイコールキー」がついたもの。
CS-200,300シリーズ
機種名特徴価格

CS-201実用機\120,00010桁メモリーつき
CS-221A標準機\135,00012桁メモリーつきGマーク選定
CS-241高級機\175,00014桁メモリーつきGマーク選定
CS-362事務用万能機\220,00016桁2メモリーつきGマーク選定
CS-361事務用万能機\250,00016桁2メモリーつきGマーク選定
CS-361R技術計算用\270,00016桁2メモリー開平機能つきGマーク選定
CS-361S金融機関専用機\280,000各種利息計算用固定プログラム内蔵
CS-361M複合計算用\300,00016桁6メモリー開平機能つき
CS-361P反復計算用\315,00016桁2メモリー開平機能、プログラム機能







CS-621

12桁メモリーつき記録式標準機。
1メモリー、3レジスタ方式の豊富な演算能力に加え、記録式の基本も徹底的に追及した。
新技術の採用と量産化により157,000円という価格を実現した。


CS-641

14桁1メモリー 3レジスタ方式 事務計算も瞬時にこなす記録式高級機。

199,000円。



Photo

CS-662

1970年に発売された世界で初めてプリント機能を電子化した電卓。
特殊金属”テルル”を媒体として電解効果によりプリントを行うためプリント時の騒音が低減され非常に静かになった。
また、電子プリンターの採用で計算機本体も表示式なみに小型・軽量化された。

使用素子 MOS-MSI, MOS-IC
346(W)×428(D)×127(H)mm。
9kg。
230,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

Compet 201 (CS-201)

1970年9月に発売された10桁メモリー付実用機。
個人用として新たに"10桁"の分野を開拓し12万円という低価格を実現した。

250(W)×312(D)×105(H)mm。
3.6kg。
120,000円。


日本経済新聞 1970.8.27.



Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

Compet 221 (CS-221)

1970年3月に発売された12桁メモリー付標準機。
割引計算、売上げ台帳計算、決算棚卸などあらゆる日常計算業務に対応。
105(H)×250(W)×312(D)mm。
140,000円。
Compet 221A (CS-221A)







Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

EL-160

1971年に発売された。1969年に発売されたQT-8Dにメモリー機能が付いたもの。アポロ宇宙船で使われたELSI(大規模集積回路)が4個使用されている。
88(H)×185(W)×297(D)mm。1.9kg。89,800円。
一年間の盗難保険が付いていた。








Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

Compet 224V (CS-224V)

1972年に発売された自動検算機能(ベリファイ)機能採用の標準機。
12桁・3レジスタ・2メモリ。
当時の価格93,000円。
Compet 346R (CS-364R)







COMPET 263V

自動検算機能(ベリファイ)機能採用の高機能実用機。
16桁・3レジスタ・2メモリ。
当時の価格115,000円。


COMPET 241 (CS-241)

14桁 メモリーつき高級機。
MSI、ICなどの高集積回路を駆使して最高度の信頼性を確保した。

175,000円。



Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

Compet 242 (CS-242)










Photo courtesy : Mr.Y.Tsuji

Compet 225 (CS-225)

1972年に9月に発売された新しいデザインのAC専用卓上計算機。
56,000円。
CS-225R






Photo courtesy : Mr.Daisuke Sugimoto

EL-815S

1974年頃の発売。







Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

EL-804

1973年に発売された。
198,000円。



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

COMPET 742R (CS-742R)

1972年に発売された。
当時の価格159,000円。



Photo

COMPET 363P

1971年に発売された高級プログラム電卓。
7メモリー、144ステップ、磁気カード方式を採用。
サブ・ルーチン機能、データの外部記憶機能をこのクラスで初めて搭載ミニコン並の能力を持つことに成功した。

使用素子 ELSI 6個 その他LSIなど
340(W)×420(D)×143(H)mm。
8.5kg。

320,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y
操作キーの説明



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

COMPET 364P (CS-364P)

1972年に発売された。
16桁・3レジスタ・12メモリー・288ステップの高級プログラム機。
サブ・ルーチン機能、データの外部記憶機能を搭載していた。
当時の価格33万円。







Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

COMPET 365P (CS-365P)

1973年い発売された。
16桁・3レジスタ・24メモリー・576ステップの超高級プログラム機。
CS-364Pをベースにメモリー数を12から24に、ステップ数を288ステップから576ステップに大幅アップしたもの。
当時の価格43万円。





Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

COMPET 824 (CS-824S)

1972年に発売された印字機能のついた卓上電卓。
プリントスピードは1秒間に5〜7行。
印字はハンマー式から電子式に変わり音はほとんど聞こえなくなった。
手提げがついて自由に持ち運べた。
12桁3レジスター・1メモリ
125,000円。


同じシリーズで プリント式のみのCOMPET 823 (CS-823) (89,000円) も発売されている。

CS-421

1972年に発売されたストアードプログラム方式の科学技術計算用電卓。

400(W)×430(D)×200(H)mm。
14.5kg。

780,000円。

Photo courtesy : Mr.S・Y


EL-624

1972年に発売された12桁、3レジスタ、1メモリーのポータブルプリンタ電卓。
新開発のプリントメカを搭載し、非常に鮮明で寿命も長くなった。
また、電源 ON でもプリントしない時の騒音が0になった(間欠駆動メカ)。
99.000円。


COMPET CS-1109D

1978年発売された本格的卓上電卓。10桁表示。2電源方式。
218(W)×231(D)×108(H)mm。1.15kg。13,800円。

姉妹機として12桁のCS-2109D 19,800円があった。


Photo courtesy : Mr.T.Honda

PC-1001

1973年に発売された関数計算用・電子計算尺<ディジタル・ルール>。
三角関数。逆三角関数、双曲線関数、対数、指数など15種の関数がワンタッチキー操作で即座に求められる。
さらにプログラム機能が付いており最高64ステップのプログラム機能が使える。
129,000円。

PC-1001


Photo courtesy : Mr.Y.Tsuji

PC-1002

PC-1001の後継機。1974年発売。
149,000円。

PC-1002はPC-1001と同様、15種の組込み関数及び12種の組込みプログラムを装備し、科学技術計算がワンタッチでできた。
また、64ステップのプログラム機能が付いており、複雑・高度な反復計算が可能で、測量、土木、統計、科学技術分野で使用された。

PC-1002



CS-6500

東京理科大学 近代科学資料館 常設展示中
 1980年に発売された世界で最初の音声電卓。
先進の音声合成技術を用い演算の経過や結果などを音声で伝えることで計算の正確性を高めようとした。
この技術は、その後、時計や電子レジスタにも応用された。
16桁、1メモリー。


Photo courtesy : Sumiya Denki

CS-S270S

消費税の扱いが出来る電卓。
大きさは 138(W)×185(H)mm と大きめで足を出して使うことが可能。 
会計用なので、3桁ごとにカンマが上に入る。




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