C 入力方式


金属接点スイッチ
リードスイッチ
導電ゴムEL-801 (シャープ 1972)
タッチキーEL-8130 (シャープ 1977)
手書き入力・ペン入力

金属接点スイッチ

1966年ごろまでの電卓は、数字の入力は金属接点スイッチにより行われていた。
この方式は、ほこりなどの付着や錆などでしばしば不具合が生じ、また接触不良や押し下げの仕方で入力ミスがしばしば生じた。





リードスイッチ

1972年から使用されるようになった。
ガラス細管内に2枚のリードが不活性ガスとともに封入されており、入力キーにセットされた磁石がガラス細管に近づくと磁力で2本のリードが接触し、電流が流れる構造となっている。
このスイッチは接触部分がガラス細管内に封入されているため接触が非常に安定しているという特性があり、1975年頃まであらゆる電卓メーカーが採用していた。








導電ゴム

リードスイッチは動作が安定していたが、キーの数だけ一つ一つ手作業でセットする必要があり、製造コストが高いという欠点があった。
導電ゴムは、電気を通すゴムを成型段階で凹凸をつけたもの。基盤の上に凹凸のある導電ゴムをのせ、その上にキーを重ねたもの。
コスト面の効果が大きかったことから電卓メーカーはこぞってこの方式を採用した。
価格競争が激しくなると樹脂キーを廃止してゴムそのものに数字や記号を印刷した電卓なども現れた。

EL-801 (ELSI MINI) (シャープ)

1972年7月に発売されたシャープ初のワンチップ、ポケッタブル電卓。愛称は「エルシーミニ」。ミニの名のとおり手のひらにすっぽり収まるサイズにまとめられている。
デザインは、全体が丸みをおびており、高級感のあるアルミ仕上げがされるなど秀逸でGマーク商品にも選定された。
また、東芝が開発した消費電力が従来のLSIに比べ約百分の一のC・MOS(相補性金属酸化膜半導体)LSIを初めて搭載しており、乾電池4本で15時間使用することができるなど性能面でも非常に優れた電卓であった。
サイズ 79(W)×143(D)×19(H)mm。127g。
単三電池4本使用。価格は39,000円。




タッチキー

電卓の薄型化を図るために開発された。
キーの部分は数字や記号が印刷されているだけで、指で押しても押し下げ感がない。
このため、入力ミスを防ぐため音が出るように工夫された。
この技術は、その後電卓以外の家電製品に幅広く使われるようになった。

EL-8130

1977年に発売された世界で最初のタッチキータイプ電卓。ボタンをタッチキーにすることで5mmの厚さを実現した。
シャープは「ボタン戦争は終わった」の広告を大々的に展開した。
非常にヒットし韓国でも生産された。
68(W)×124(D)×5(H)mm 65g。8500円。

左下にあるのはスピーカ


手書き入力・ペン入力

電卓の表示がドット表示になり、数字の他記号や英文字も扱えるようになる中で、入力表示についてもストレスなく、簡単に入力する方式が研究され、製品化された。

DATABANK PF-8000 (Casio)

1984年にカシオから発売された手書き入力機能の付いた電子手帳。
液晶ドット表示が可能になり、数字の他、記号や英文字も表示できるようになると、入力用のボタンの数が増えることから、手書き入力機能が採用された。
この機能は最近のPDAにも採用されているが、当時の入力認識機能には技術的に制約が強く、入力認識が可能な書き順が示されていた。
1984年度グッドデザイン選定商品。
12,800円。


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