近代科学資料館に展示されている主な電卓



14-B (Casio) (リレー計算機)

14-B は1959年5月に発表されたリレー計算機14-Aの後継機。
14-A をベースに「自動開平機能」と「四則計算・混合計算における小数点の完全自動機能」とを装備した技術計算機。
総発売元 内田洋行。




Canola 130 (Canon)

キャノーラ 130 は1964年5月東京晴海で開かれた第28回ビジネスショウで発表され、10月に発売された日本で最初の電卓の一つ。
トランジスター600個、ダイオードは1600個を使用し、演算桁は1兆まで計算できるよう13桁に設定されていた。
発売当時の価格は 395,000円で4か月月前に発売されたCS-10Aより140,000円安かった(1965年10月には360,000円に値下げされた)。

Canola 130には以下のような特徴があった。
@誰にでも操作できるテンキー式を採用、
Aニキシー管に代えて新しいディスプレイ装置である光点式表示を採用、
B事務机にのる大きさとした。
当時としては非常に先進的なマシンであった。

使用説明書





√001型 (Casio)

1966年1月に発売された001型の後継機。
リレー計算機14-B型の自動開平方式を電卓に採用した、開平機能をもった世界で最初の電卓。

370(W)× 520(D)× 245(H)mm 。16.5kg。
当時の価格435,000円。




101E (Casio)

101の後継機として1967年発売された。
価格 198,000円。

日本経済新聞 1967.8.30.




AL-1000 (Casio)

1967年10月に発売された。
プログラムをソフトウェア化し、一連の命令をキーボードで簡単に記憶装置に入力できるようにした世界で最初のプログラム付電卓。
14桁の演算レジスター・記憶レジスター(4組)・プログラム記憶装置(30ステップ、15ステップ2組に分割可能)を全て磁気コアで形勢させたので、普通の電卓と同程度の小型化が実現した。
価格も普通の電卓と比べ3割程度しか高くなかったので、国内はもとより欧米各国でも非常な人気を博し、ベストセラー電卓となった。

380(W)× 445(D)× 230(H)mm 。11kg。
当時の価格328,000円。

日本経済新聞 1967.10.18.



AL-2000 (Casio)

1969年発売。
当時の価格318,000円。

ALシリーズとしては他に、AL-1000が発売された1966年の翌年にAL-1000Sが 発売された。




SOBAX ICC-500 (Sony)

1967年6月に発売されたソニーの最初の電卓。当時の価格 260,000円。
 非常に高度な技術を駆使した電卓で、モジュールICの採用、磁歪遅延腺の開発、数字表示管の改良などが行われていた。
 しかし、ICC-500にはこうした高度な技術だけでなく気が付かないような様々な工夫やこだわりがある。
 まず取っ手である。ICC-500には、ソニーのポータブルへのこだわりから持ち運び用の取っ手がついている。またあまり知られていないが本体の後ろには充電池を搭載するための穴があいている。当時これだけの大きさの電卓を持ち運んで電源のないところで使うという発想をソニーが既に持っていたということは驚きである。充電池を使うということからすればSobax ICC-500 は世界で最初のポータブル電卓であるということもできる。
 また躯体のデザインについてもこだわりが随所にみられる。本体は強化プラスチックでできているが、そこに非常にわずかではあるが曲線が用いられている。これは技術者にとっては非常に厳しいハードルだった。またトランジスタを1000個近く使用する為、本体内の熱処理が課題となる。当時の電卓はファンをつけたり上部に喚起のための穴が設けられたりしたが、SOBAXにはファンがなく上部に通風孔を設けていない。またキーボードの部分は操作面で薄くするのが課題であったが、ICC-500ではクランクを利用して薄型化を図っている。さらに表示部分は光の反射を防ぐ為、ガラス面が垂直に配置されている。
 ICC-500には様々な工夫、アイデアが満載されていた。
日本経済新聞 1967.5.20.

説明文


バッテリーパックが装着できた。





SOBAX ICC-2500 (Sony)

1969年10月に発売された。
当時の価格328,000円。

ICC-2700


ICC-2700





SOBAX ICC-1600 (Sony)

1970年2月に発売された。
当時の価格 145,000円。






SOBAX ICC-700 (Sony)

1972年3月に発売されたカセットが計算式を記憶しているため、数字とイコールキーを押すだけで自動的に答えが求められる。当時の価格は198,000円。


SOBAX ICC-88 (Sony)

1971年に発売されたソニー唯一の携帯型電卓。
デスクトップで使うときはチャージャーにセットして使う。本体には充電池が内蔵されており、充電5時間で2〜3時間使用できる。
演算素子には MOS LSIを使用し、表示には8桁の平面表示管(プラニトロン)を使用している。計算は計算式どおりで、16桁まで計算可能。
176(W)×65(H)×164(D)mm。
176(W)×49(H)×100(D)mm(本体のみ)。
1.7kg (本体のみ880g)
79,800円。





S-301 (Seiko)

服部時計店が発売した電卓。
服部時計店は1969年はじめに電子式卓上計算機に進出。
わが国初のプリント式電卓S-300を695,000円で発売するが、このS-301はS-300の後継機。1971年ごろ発売されたものと思われる。
表示機構には表示管は使わず新しいプリント方式を採用している。価格は795,000円。

仕様
プログラム装置 命令26種類 容量 最大153ステップ
          プログラム命令内に定数挿入可能。
          ジャンプ機能を有する。
演算桁数    置数・加減算  23桁
          乗算 22桁×22桁 積22桁
          除算 22桁÷22桁 商22桁
          平方根 √22桁   根22桁
メモリー     6語 内1語は累計メモリー(各23桁+符号)
          各々2個のメモリー(11桁+符号)に分割可能
演算素子    IC
寸法・重量   424(W)×487(D)×177(H)mm。19.5kg。





166-DA (Busicom)

1972年に発売されたプログラム電卓。
最初に計算式を憶えさせればあとの計算はデータ入力と"FWD"キーを押すだけのプログラムストアード方式を採用した。演算素子にはMOS LSIやDTL IC を採用し、オールIC化を実現した。16桁でメモリを6語備えている。

基本的なプログラム例としては
三角関数、逆三角関数、対数関数、指数関数、双曲線関数、高次根、階乗、複素数の計算、百分率計算、標準偏差
などが可能。

333(W)×333(D)×143(H)mm。 7kg。32万円。






Pocketronic (Canon)

1970年に発売された世界で最初の携帯型電卓の1つ。
蛍光管は搭載しておらず、TI社の特許であるソリッドステートサーマルプリンタ方式を採用している。携帯型にもかかわらず12桁の定数計算が可能だった。MOS・LSI を3個使用しており、内蔵NiCd電池により連続3時間の使用が可能だった。
日本製。
101(W)×208(D)×49(H)mm。本体820g。テープ 80g。
本体 87,000円。バッテリーチャージャー8,500円。サーマルプリントテープ(80m)350円。

(当博物館が寄贈したもの)






120-A (Busicom)

1971年1月に発表され6月に発売された世界で最初のポケットサイズ電卓。
モステック社とビジコン社が共同開発した世界で最初のワンチップ電卓用チップ MK6010 を搭載た世界で最初のワンチップ電卓でもある。
また、発光ダイオードをディスプレイに採用した点及び電源として単3電池を採用して点でも世界で最初の電卓である。

1971年1月に発表され6月に発売されたが大きな反響を呼び89,800円と高価(当時の大卒の初任給は46,500円)だったにもかかわらず国内外とも人気を博した。








Casio Mini (Casio)

カシオ・ミニは1972年8月カシオ計算機から発売された低価格ポケット電卓である。
60年代に電子式卓上計算機(電卓)が発売されたあと、急速な技術革新により、電卓の価格は急激に下がったが、72年当時でも3万円程度と、オフィスで使うにはともかく個人が簡単に買える商品ではなかった。こうした電卓に対するイメージを根底から変えたのが、カシオ・ミニである。当初の価格は1万2800円、当時の市場価格の3分の1という常識破りの低価格であった。





SL-800 (Casio)

1983年4月に発売されたカードタイプ電卓。名詞サイズ(幅85mm、奥行54mm)で厚さがわずか0.8mm、重さが12グラムと軽薄短小の極致を実現した電卓。20年前20キロ近くあった電卓が激しい技術革新の結果ついにこの水準までたどりつくことができた。記念碑的電卓。MOMA の永久所蔵品にもなっている。当時の価格は5,900円だった。

(当博物館が寄贈したもの)