小型電卓
Small LED type calculator

電卓戦争の中で、各社は軽く、小さく、薄く、長時間駆動可能でかつ安価な電卓をしのぎを削って開発した。特に小型電卓については部品をいかに圧縮するかが大きな課題であり、各社とも最先端の技術で小型化にチャレンジした。これらの電卓は大きさに比べ非常にずっしりとした重量感がある点に特徴がある。





LE-80A

1972年5月に発売された世界で最初の小型(タバコケースサイズ)電卓。
電卓本体の大きさはタバコケースより一回り小さい。
1971年1月に世界で最初のポケット電卓を発売したビジコン社は常時背広のポケットに入れ、違和感なく携帯できる大きさとしてタバコケースサイズが望ましいと考え、この電卓を開発、発売した。
表示は発光ダイオード8桁。チップはTI社製。

高級革ケース付(58,000円)と内側にBUSICOMの刻印の入った高級オーストリッチ革ケース付(64,800円)があった。当時電卓がいかに高級で大事にされていたかがわかる。

単5電池4本使用。56(W)×81(D)×21(H)mm。100g(電池込み)。


ビジコンポケット電卓



BUSICOMの刻印の入った
オーストリッチ革ケース
Serial No. 35SB100543


47年4月の字が見える。

LE-80B

LE-80Aの後継機。デザインは異なるもののスペックはLE-80Aと全く同じ。

ビジコンポケット電卓



CL-1M (CROWN)

クラウンラジオの小型電卓。
単5電池4本使用。
55(W)×80(D)×22(H)mm。
シリアルNo.400073



COMPUTECH M-801 (EIKO BUSINESS MACHINE)

クラウンラジオのCL-1M と同型の小型電卓。
シリアルNo.215492
クラウンラジオとと栄光ビジネスマシンの関係は不明。
両社の性格からして、クラウンラジオが栄光ビジネスマシンにOEM供給したのではないかと推測される。


EL-801 (ELSI MINI) (Sharp)

(最初のC・MOS搭載電卓)
1972年7月に発売されたシャープ初のワンチップ、ポケッタブル電卓。愛称は「エルシーミニ」。ミニの名のとおり手のひらにのる大きさにまとめられている。
デザインは、全体が丸みをおびており、高級感のあるアルミ仕上げがされるなど秀逸でGマーク商品にも選定された。
また、東芝が開発した消費電力が従来のLSIに比べ約百分の一のC・MOS(相補性金属酸化膜半導体)LSIを初めて搭載しており、乾電池4本で15時間使用することができるなど性能面でも非常に優れた電卓であった。
サイズ 79(W)×143(D)×19(H)mm。127g。
単三電池4本使用。価格は39,000円。

シャープ電卓










Photo courtesy : Ms.Haruka Mishima

Pocket-Mini

Pocket-miniにはいくつかのバリエーションがある。
一番上は赤のLEDタイプでボタンも丸い。一番初期のタイプと思われる。

二番目は、プラスチックのケースのタイプである。ボタンは丸から四角へ、数値表示がLEDから蛍光管になった。型番はP-811。

一番下は両社の中間。型番はCP-801B。8桁でパーセント機能と、平方根、四則自動定数機能付き。7,500円。
他にルート機能の付いていない P-810 (7,800円)が発売された。


カシオLEDタイプ電卓







Palmtronic 8 mini (Canon)

小型の蛍光管電卓。単3電池2本で駆動。

キヤノンポケット電卓


Mini (821) (Omron)

単4電池2本で駆動。63(W)×93(D)×21(H)mmと非常に小さい。
内部も非常にシンプルになってきている。

内部

CX-8002C (SACOM MINI) (Sanyo)

充電式電卓。日本製。
非常に分厚い形状。


スペースを確保するために
CPUは縦についている。
CPUを取り外し内部を開いた状態。

Eight (Mini size)

8桁ポケット電卓。
C-MOS LSI ワンチップ電卓。
単4電池3本使用。
65(W)×100(D)×19.5(H)mm。
120g(電池込み)。




BC-0806B (Toshiba)

8桁トスカルミニ。
C-MOS LSIを使用。
ふたがついている。
単三電池4本使用。
77(W)×37(H)×113(D)mm。250g。
38,500円。



Homeland 80K (Toshiba Business Machine)

当時東京芝浦電気の関係会社であった東芝ビジネスマシン(現在の東芝情報機器)が販売した小型電卓。
SUNTORYが配布したそろばん付き電卓の電卓部分にはこの80Kが使われている。。

東芝ポケット電卓
ソロカル




JE-8000

単三電池2本使用で約10時間使用可能。
22.5(H)×67(W)×103(D)mm。重さ約130g。3,800円。

松下電卓


JE-8001

JE-8100は国内向け。JE-8001Uは外国向け。単三電池2本使用。
67(W)×103(D)×22(H)mm。ミニ電卓。

松下電卓




JE-8001U



松下電卓

JE-8100 (Panac 8100)

単三電池1本使用
本体はグレーと黒の小型電卓。
64(W)×107(D)×19(H)mm。
3,800円。

各社の小型蛍光管電卓




mini 8 (Systek)

今では非常に珍しいシステック社の小型電卓。
システック社は電卓分野ではかなり先進的な企業であったが、電卓戦争の最中1976年頃、倒産したといわれる。しかし詳細については不明。このmini 8 は国内ではあまりみかけないが、海外で良く似たタイプを時々みかける (ADLER SIR etc)。これらはシステック社のOEM製品でないかと思われる。
単4電池3本使用。92×62×22mm。

システック


Lady (Triumph)

Triumph はドイツのメーカー。Adler 社 Royal 社の関連企業。
Lady は女性を意識した金色と赤の色を使った8桁の蛍光管電卓。
Triumph 社は他に男性向けの電卓 Sir を発売している。
システック社のmini 8 のOEM。

K16 (Summit)

Summit社は米国ユタ州にある Nuclear Controls and Electronics 社の販売会社。1972年に電卓分野に進出し1974年に撤退した。非常に短い期間であったが、この間に Summit社 はユニークですばらしい小型電卓を販売した。
K16 は1972年に $99.95 で販売された。充電式バッテリーを持ちボタンは TI社が開発したKlixon keypad だった。米国製。


M27 (ARISTO)

ドイツ ARISTO 社の小型電卓。電卓の基盤部分が箱のふたのようになっており、底が電池ボックスになっている。
単3電池5本使用。ドイツ製。

Minuteman 6 (Commodore)

赤の LEDタイプ電卓。9Vの乾電池使用。表面が金属製で非常に変わった形状の小型電卓。1974年製で当時の価格は$30。日本製。

Red LED. Use 9V rep battery.Very unusual wedge-shape with metal faceplate. 1974 price $30. Made in Japan.



911 (Unisonic)


ユニソニックの中で非常に小さく魅力的な電卓。
Bタイプ。シリアルNo.030081。
日本製。

Very small and quite attractive machine of Unisonic series.
B type. Serial No.030081.
Made in Japan



Photo:Hideki.Fukuo

Homeland 80D (Toshiba Business Machine)

LED表示の小型電卓。
9Vの電池を使用。
英国 Kovac 社へ LE-808P としてOEM供給された。


電源 DC:乾電池 S-006P(9V)×1
AC:本製品用ACアダプター(別売り)
消費電力:0.06W
外形寸法:本体 巾59×奥行105×高さ33mm
重量:本体 115g

東芝ポケット電卓



LE-808P (Kovac) (Homeland 80D)

Kocac 社は英国の企業。
LE-808Pは東芝のOEM (東芝)。
本電卓はアルゼンチンで使われていたもの。
CPUはTI製 "TMS0803NC 7417"。
ディスプレイはBowmar製。



PA-80N (PICO)

PICOはドイツの企業。
PA-80Nは1975年ごろ発売されたLEDタイプの小型電卓。内部をみると東芝のチップが使われている。基盤には「GICO 50.10.20.」の印が押してある。今でもかなりの数が残っており、ヨーロッパでかなり多く販売されたと考えられる。PICOはこの他、同じ時期に蛍光管タイプの電卓PA-80D(こちらも日本製)を発売している。
日本の製造メーカー名は不明。

PA-80N (PICO) を分解。


E341(DETSON)

DETSONは英国の販売会社。E341は日本のメーカーのOEMだがどこのメーカーかは不明。
米国Lloyd's Accumatic 341と同じタイプ。
内部をみると三菱製のチップが使われている。また内部の基盤にはGICOのシールが貼ってある。ただ日付は判読できない。キーの形はオムロン製の電卓と似ている。
この電卓の電池ボックスは左右をスライドさせて蓋を他をはずすという独特の機構を採用している。文字は青で小さいが明るくくっきりした表示でとてもみやすい。



BC19V (HANIMEX)

9V電池使用。
香港製。



Monte Carlo (Monte Carlo)

コンセントの形をした充電池を本体裏面にセットするという非常にユニークな電卓。
香港製。


文字のデザインが異なったタイプ。




Model 1945 (EDMUND SCIENTIFIC)

Monte Carlo同様、コンセントの形をした充電池を本体裏面にセットする電卓。
サイズ、キーの配置などよく似ているが、コンセントの形状や部品などは異なっている。
両者の関係は不明。