海外のメーカー (2)



Smith Corona Marchant (SCM)

Smith Corona 社はタイプライター製造、Marchant 社は機械式計算機の製造を手がけていた。60年頃に両社は合併し、60年後半には卓上式電卓を作りはじめた。

Marchant 1

 Marchant 11971年春に発売された最も初期の充電式の携帯電卓の一つ。当時の価格は495ドルだった。ニキシー管を搭載した数少ない携帯型電卓である。ディスプレイはフリップ式となっており、カバーをスライドさせるとキーボードとディスプレイが現れ、電源も入る仕組みになっている。本体後部には脚が収納されており、使用するときは脚を持ち上げて使用する構造になっている。







COGITO 414

616


Royal

DigitalV

DigitalV は1972年初めに米国ロイヤルタイプライター社から発売された電卓である。当時、各社にとって電卓の製造コストをいかに引き下げるかが最大の課題だった。DigitalVは製造コストの高いボタンを取りはらい、電流の流れているペンを金属板に接触させることで入力する方式を採用した。表示桁数も4桁とし、読み出し機能をつけることで8桁の計算ができるよう工夫した。こうした工夫の結果、DigitalVは当時99ドルで販売することができた。しかし、その年の秋にはカシオミニが60ドルで販売され、市場から姿を消した。当時の価格競争の熾烈さを物語る電卓である。






SOUNDESIGN

米国の企業、日本製や香港製の電卓を自社ブランドで販売した。

8301

米国SOUNDESIGN社が発売した電卓を三井物産電器販売株式会社が輸入し販売した電卓。
ただ電卓自体は日本で製造されたものであり、輸入したものではなく米国SOUNDESIGN社向けの輸出品を国内で販売したものかもっしれない。製造メーカーは不明。

電源スイッチを切り忘れても自動的に電源を切り電池の無駄な消費が避けられる「オートマチック・シャット・オフ回路」を搭載している。
4個の単2電池またはACアダプター使用。
760g
115(W)×190(D)×45(H)mm
22,800円










Craig

Craig 社は米国カリフォルニアの企業。60年代にステレオの機材や電化製品を販売と合わせ様々な電卓も販売した。同社の販売した電卓の多くは日本製であった。

4502

1972年に発売された8桁の蛍光管の電卓。

東京電子応用研究所 (TEAL社)からCraig社へのOEM

2電池4本またはACアダプター使用。バッテリーメータと少数点キーがついている。
123(W)×220(D)×38(H)mm。当時の価格は$119.95
日本製。

TEAL calculator



4504

1973年に発売された。
当時の価格$129.95。
数字は紫のLED。
単3電池6本もしくはACアダプター。
左下にキャリングストラップが付いている。
日本製。



Photo Courtecy Mr.Shintaroh Harada

4512

1975年に発売された横型の電卓。日本で製造され米国で販売されたものであるが、写真は米国に輸出される前のラベルが添付されていない珍しいモデル。当時の価格は$100.00






4513

4513は、4512と同じく1975年に米国で発売された横型の電卓。内部をみると、CPUには"A-1241 4A"の文字がみられる。部品には日立のマークが多い。単3電池4本またはACアダプター使用。当時の価格は$59.95。日本製。シリアルナンバーは7457474となっていることから日本で1974年に製造されたとみられる。155(W)×72(D)×35(H)mm

日本の太陽ビジネスマシン社のOEMと考えられる。

太陽ビジネスマシン



Kosmos

Kosmos 社はジョージア州アトランタの企業。

Astro


世界で最初の 占星占い機能付き電卓。
各人に影響を及ぼす3つの星の位置を計算することでいろいろな占いが可能。
ユニークなデザインの電卓。
台湾製。



Sumlock Anita LTD

Sumlock Anita 社は、1973年世界で最初に電卓を開発販売した英国のBell Punch 社の電卓製造部門が、当時電卓用ワンチップの拡販に力を注いでいた米国Rockwell社に買収されてできた会社である。

ANITA 811

Sumlock Anita 社のポケットサイズ電卓。同社はドイツのNurnberg にあったTriumph Adler 社より依頼を受けポケット電卓Adler 81を開発するが、これがAnita 811の前身である。

Triumph Adler 社はRoyal タイプライターの流れをくむドイツの名門企業であるが、電卓については自ら製造は行わず、他社からのOEMで販売を行っていた(当時オムロンもAdler 社に電卓を供給していた)。Adler 社はOEM製品の供給を依頼するとき、製品の仕様については自社の仕様で統一した。こうしてできたのが、Adler 81である。これは黒のボディに赤や青や黄色のカラフルなボタン使った Adler仕様となっており、とくに特徴的なのは後ろのアルミ部分を引き上げる方式の電池ボックスである。
Anita 社はこのAdler 社仕様の電卓をOEM供給すると同時に、自社ブランドの電卓を製造販売した。これがAnita 811である。ボディの色やボタンなどは、Adler 81 との違いを出すため意識的に異なった色を使用しているが、メカニカルな部分は同じものである。もちろんチップにはRockwell 社の電卓用ワンチップを使用している。
Adler 81と比べ、全体の雰囲気がレトロ調である。





Rapid Data

Rapid Data社は初期の電卓を製造したカナダの数少ない企業の一つである。


Photo courtecy : Mr.T.Yoshida

RAPIDMAN 1208 LC







RAPIDMAN 800

Rapidman 8001972年の春に発売された電卓であり、$100以下で販売された世界で最初の電卓であるといわれている。(カシオミニは19728月発売。)

8桁のLED電卓で、9Vの電池を使用している。価格を大幅に引き下げるため、ON-OFFスイッチを安価なスライドタイプにし、ボタンと電池カバーは本体と一体で成型するなど価格を抑えるための涙ぐましい努力の跡がみられる。






RAPIDMAN 804

カナダ製。







Rockwell

Rockwell 社は米国の半導体メーカーでシャープが世界で最初のLSI電卓を開発する際LSIを供給した企業でもある。
同社は Unicom 社を買収した後、自社ブランドで電卓市場に参入した。

24RD

24RD1975年日本で製造されたもので米国で$24.88 で販売された。ボタンの色合いがなかなか洒落た電卓である。

National Semiconductor Corporation (NSC)

National Semiconductor Corporation はCalifornia州Santa Clara に本社があった当時世界最大の半導体製造メーカーだった。
同社の電卓部門は当初"NSC Electronics"の表示で販売を行っていたがNovus 社を買収してからはNational Semiconductor とNovus の2つのブランドネームで販売した。

600 (NS ELECTRONICS)

NS ELECTRONICS はNational Semiconductor Corporation (NSC) の電卓部門。
米国カリフォルニア州で製造されたもの。
逆ポーランド式(RPN)電卓。
LED表示。







823 (Novus,National Semiconductor)

National Semiconductor 社の電卓部門であるNovusが発売した電卓。
電池は使い捨て型と充電型を選択できる。

米国でも生産されたがこれは南米ウルグアイで生産された珍しいもの。

世界各国の電卓





99 (NSC)

米国ユタ州のNational Semiconductor Corporation (NSC)から発売された。
ボタン電池2個使用。70(W)×118(D)×8(H)mm。
香港製。

Bowmar

Bowmar社は米国の電卓メーカー。同社の電卓は米国において一時期、低価格ポケット計算機の代名詞となっており、様々な漫画やジョークで取り上げられ、ブロードウェイの演劇にも登場した。

901B

1971年秋に発売された世界で最初のポケット電卓の一つ。

充電池式でディスプレイはLED、キーはテキサスインスツルメンツ社が開発したクリクソンキーパッドを使用。
他の電卓メーカー等へもOEM供給された。
米国製。$240




MX 70

1973年に発売された。901Bにメモリー機能が追加された。

$129.95
米国製。





Keystone

Keystone社はかってニュージャージー州にあり1970年代初めに米国内で電卓を生産していた。
同社はKeystoneブランドの他Atlas-Rand、Berkey、Berkey KEYSTONEブランドでも電卓を販売した。
初期の電卓には充電式の電卓もあり、バッテリーメーターなどが付いている。
同社の電卓の多くはディスプレイに Burroughs 社が開発した Panaplex を搭載しているが、このディスプレイはオレンジ色でチラツキが少なく見やすい。
同社の電卓はボタンのデザイン、オレンジの数字、手に持った時の重量感などレトロ感を楽しむことができる魅力的なものが多い。


Photo:Hideki.Fukuo

Atlas Rand 240

レトロなデザインのSemi-RPN式電卓。
ディスプレイは Burroughs 社が開発したPanaplexを使用。
単三電池4本またはACアダプター使用。

米国製。

Berkey KEYSTONE 350

1974年に発売された米国製電卓。
初期のポケット電卓らしく非常に分厚くなっている。
またキーの形は四角と丸を組み合わせたものとなっている。
ディスプレイは Burroughs 社が開発したPanaplexを使用。
全体として 落ちついた色合いの電卓。
当時の価格は95ドル。

3電池4本またはACアダプター使用。



Calfax

70年代に数多くのポケット電卓を発売した。

data brain U

1974年頃に発売された。
裏面には"AMERICAN IMPORT MERCHANTS CORPORATIN CALFAX DIVISION"の文字がある。
ツートーンのレトロなデザインのLED電卓。
名前からして"data brain T"という機種があると思われるが不明。
香港製。




APCO

EC-808

日本製。裏側には"APCO A.G."の記載があるがメーカー情報など詳細は不明。頭部分に変わった形状のACアダプター用の端子があり、普段はネジ状のふたで覆っている。おそらく海外への輸出品だったのであろう。
キータイプなどビジコン社の電卓と類似点がある。チップはTI社製で表示部分は赤のドットタイプでBowmer社製。単3電池5本使用。




AFCO


Super size


Phote courtecy : Mr.Frank Boehm

TE-8M

ビジコン社の電卓に似たデザインの電卓。

詳細は不明。








Unicom

Unicom 社はアメリカカリフォルニアにあったICメーカー。1972年にRockwell社に買収される。

103

103は丸ボタンのしゃれた電卓。

メキシコ製(部品は米国製)。
CPUには"15330PC 7318"と書かれている。

9Vの電池若しくは充電池使用(満充電に14時間かかる)。












HERMES PRECISA INTERNATIONAL

スイス チューリッヒの企業。

HERMES 512

゙非常に珍しいスイス製の電卓。
デザインもユニーク。
チップはロックウェル社製。



PRECISA M104

ポケット電卓。
製造国の記載はないがスイス製と思われる。
ボタンはCommodore 社の電卓と同じ。


Columbia

Columbia Scientific は米国カリフォルニア州サンタモニカにあった企業。70年代初めにいくつかのユニークな電卓を製造販売した。

Memory U

Memory U は1974年に発売された非常にユニークな電卓。美しい曲線の白いケースが特徴的。充電式。米国製。当時の価格は $74.95





Corvus

米国テキサス州ダラスにあった。
ICメーカーMostek社のコンシューマー部門。

400

1974年頃発売された。
独特の形状をしており、白のボディと赤のボタンのファミコンのコントローラーの色使いと似た感じの電卓。
単5電池4本使用する6Vモデル。他に9Vモデルが発売された。

Litronix

米国カリフォルニア州にある企業。LEDメーカーから電卓分野に進出した。

2230

2230は1975年にマレーシアで生産されたLED電卓。
単3電池3本使用。
29.95ドル。