ゲーム電卓
Game Calculator

ゲーム電卓はカシオの複合化電卓開発の過程で生まれた。大きなブームが起こる中、シャープもこの分野に参入するが、その後撤退する。カシオは次から次に新しいアイデアの機種を投じ、総じてみればカシオの独壇場であった。
この分野で、カシオがリードしたのはカシオの先見性とアイデアが優れていたことがあるが、軽薄短小技術とビジネス分野での展開を志向するシャープとの違いも背景にあったといえる。


















ワンダートピア販促用ディスプレイ
カシオ ディジタルインベーダー
MG-880
カシオのゲーム電卓の第一弾。1980年4,900円
カシオ ディジタルインベーダー
MG-770
MG-880のカードタイプ。1980年5,500円
カシオ エイトアタック
MG-885
カシオのゲーム電卓の第二弾。
カラフル仕様のカードサイズも4,900円で発売されていた。
1981年4,900円
カシオ ボクシングゲーム
BG-15,
BG-8(カード版)、
BG-20(アニメーション版)
カシオのゲーム電卓の第三弾。
手帳版だけでなく、カード版(6,200円)やボクサーの全身を映し出すアニメーション版(5,980円)も発売された
数字遊びではなく反射神経を必要とする内容でゲーム電卓というより電子ゲームに一歩近いものとなった。販売ルートも文房具店だけではなく玩具店へも卸されるようになった。
1981年6,200円
カシオ ベースボールゲーム
BB-9
タッチアウト、ダブルプレイなど様々なプレイを再現した野球ゲーム。1982年5,980円
カシオMG-777 ALL SAME, STOP THE SEVEN, HIT AND HITの3種類のゲームが内臓されていた。
カシオは当時大ブームを巻き起こしていたルービックキューブを電卓で実現するため、当時高価だった液晶を4倍にしALL SAMEというゲームとして売り出しのがこの電卓である。
1981年6,200円
カシオMG-888MG-777の続編。ミサイルゲーム。1982年4,500円
カシオ 占い電卓
FT-7
生命周期学に基づいてコンピュータが運勢を占う。1981年6,500円
カシオ ソーラーシャトル
CG-10
カシオは1981年ゲーム付き電卓発売により、文房具ルートと玩具ルート双方に電卓を供給していたが、1982年には玩具ルートに本腰を入れるため電卓機能を排除した純電子ゲーム機を次々に発売するようになる。このソーラーシャトルはその第一弾にあたり、型番もMGシリーズからCGシリーズに変わる。1982年3,980円
シャープ ワンダートピア
WN-100
シャープはカシオの複合路線ではなく、最先端の技術を駆使した軽薄短小追及路線であったが、カシオのゲーム電卓の予想外の売れ行きをみてゲーム電卓のの分野に参入した。
売りはゲーム3つ(スロットトライ、エレクトロダイス、エレクトロコイン)を内臓しながら3000円台という価格設定である。しかしシャープはカシオのようにゲーム機への流れを進めるのではなく、あくまで電卓の一機能としてのゲーム機能にこだわった。
1981年3,900円
シャープWN-101ランダムに表示された8つの数字を順序よく並べ替えるゲーム。1982年3,900円
シャープWN-102砲台を動かして次第に大きくなる数字を打ち落とすゲーム。1982年3,900円
シャープWN-103次々に侵略してくる未完成の数字軍団の弱点を見つけて攻撃するゲーム。1982年4,500円
シャープWN-104四柱推命占い。1982年4,900円
シャープWN-105出世街道。1982年4,900円
シャープWN-106戦略思考ゲーム1982年4,900円
カシオAG-120 スパーデジタルインベーダー(後にスーパーデジタルバトルに名称変更)
電子ゲームブームが過ぎ去った後、ゲーム電卓の発売は行われなくなった。しかしカシオはゲーム電卓の第一弾である「デジタルインベーダー」の発売から13年後の1993年に突然ゲーム電卓シリーズを再開し、「スーパーデジタルインベーダー」、「デジリス」、「テニス」、「ルーレット」の4機種を立て続けに発売した。
1993年
カシオAG-110 デジリス
予め表示されている数字の部分にパーツを加えていくゲーム。
1993年
カシオAG-130テニス1993年
カシオAG-100ルーレット1993年

(資料出所)松本裕之「答え一発!カシオ計算機」花華留多



パンフレット(1982年12月)

MG-880 (Casio)

1980年に発売されたカシオのゲーム電卓の第一弾。
迫りくる数字をインベーダーにみたてて打ち落とすディジタルインベーダーゲームがついている。
4,900円。

MG-880 に続いてカードタイプのゲーム電卓MG-770が1980年末に発売された。価格は5,500円だった。

MG-880とMG-770

BG-15 (Casio)

1981年に発売されたカシオのゲーム電卓の第三弾。
手帳版だけでなく、カード版(6,200円)やボクサーの全身を映し出すアニメーション版(5,980円)も発売された。数字遊びではなく反射神経を必要とする内容で、ゲーム電卓というより電子ゲームに一歩近いものとなった。販売ルートも文房具店だけではなく玩具店へも卸されるようになった。
主要素子としてワンチップC-MOS-LSIを使用。
68.5(W)×113.7(D)×7.3(H)mm。66g。

日本製。6,200円。

ボクシングゲームシリーズ
BG-15(手帳版)(6,200円)、、
BG-8(カード版)(6,200円)、
BG-20(アニメーション版)(5,980円)


MG-888 (Casio)

1982年に発売されたカシオのゲーム電卓。
電卓機能の他に以下の3つのゲームが楽しめる。
4,500円。

GAME Tインターバルアタックジャマな衛星を避けて標的を消すゲーム
GAME Uシフトパズル不規則に並んだ数字を指定回数で揃えるゲーム
GAME Vラッキーダイス電子サイコロによる出た目で勝負するゲーム

MG-890 (Casio)

ゲーム/メロディ機能付き手帳タイプ電卓。



MG-775 (Casio)

8(エイト)アタックゲーム。
4,900円。

カシオのゲーム電卓は世界中に輸出されていた。
このMG-775 はトルコのイスタンブールに輸出されて愛用されていたもの。



BB-9 (Baseball game) (Casio)

1982年頃発売された野球ゲーム機能付電卓。説明書には「無償保証期間昭和58年11月30日までまたはお買い上げ後1年間」と書かれている。電源として LR-44 2個使用。一日にゲーム30分使用した場合、約1年使用できる。
68.5(W)×113.7(D)×7.3(H)mm。66g(電池込み)。5,980円。


野球ゲームは攻撃と守備を交互に実施。
攻撃は、計算機側ピッチャーが投げるボールを選択し、タイミングよくバットキーを押して打つ。打った場合にはヒット、アウトが自動的に判別される。
守備は、コースを決め、キーを押して投球する。ヒッティングは計算機が自動的に行う。球のスピードは球種キーを押す時間によって変化する(押す時間が2秒に近いほど早い)。
勝った場合には次の試合に進み、負けた場合はゲームオーバー。

BB-10 (Baseball game) (Casio)

BB-9 と同じ野球ゲーム機能付電卓。BB-9 と比べ画面が大きくゲーム機の性格が強くなっているが使用法などはほとんど同じ。

他に時計・時刻アラームつきのボクシングゲームBB-20も発売された。
価格は両者とも5,980円。


パンフレット(1985年)

TG-2 (Casio)

囲碁のゲーム電卓。
初級、中級、上級の3レベル計100問の詰碁が搭載されており、打った手が正しいかどうか教えてくれる「チェック機能」、次の最善手がわかる「ティーチ機能」、問題設定ができる「サーチ機能」がついている。
9,800円。

他にタッチセンサー・キー採用TG-1(計算機能なし、12,800円)が発売された。


CG-8 (オクトリバーシ) (Casio)

オセロと似たオクトリバーシという対戦型ゲーム。
ルールはオセロと非常に良く似ているが、黒・白交互に石を打っていき、たて・よこ・ななめのいずれかに8目連続して自分の石を並べた方が勝ちというゲームである。
保証書の印には59.9.2.の印が押してあることから1984年頃に発売されたものと考えられる。
70(W)×117(D)×7.5(H)mm、71g(電池込み)
5,900円。

他にタッチセンサー採用の CG-88(計算機能なし、9,800円)が発売された。

PG-200 (Casio)

パチンコゲームのついた電卓。
5,900円。

他に計算機能のついていないPG-500(5,500円)も発売された。

Pachinko is a game like pinball. He or she is only controlling the speed with which many small steel balls are thrown into the pachinko machine. Most of the balls just fall down the machine and disappear, but a few find their way into special holes. This occurs quite rarely in pachinko, but if it happens, you win a lot of new balls.

MG-90 (Casio)

MAKING 10 というゲームを搭載した電卓。

73(W)×124.8(D)×10.5(H)mm。
65.8g(電池込み)。
ボタン電池2個

MAKING 10
画面左から2桁目に示される(機械が指定してくる)数字と足して10になる数字を、与えられた数字列の中から時間内に探し出し、狙い打って得点を競うゲーム。
レベルがあがるにつれて、考えられる時間が短くなったり、数字の数が増えたり、数字を探し出しにくくなったりとレベルクリアが難しくなる。
「計算力」、「反射神経」、「判断力」、「記憶力」など様々な能力が必要とされるゲーム。

MAKING 10 の使い方


AG-100 (ROULETTE) (Casio)

ルーレット機能を持った電卓。




寄贈:Mr.T.Iwasawa

AG-110 (DIGIRIS) (Casio)

デジリスゲームとは、右側から移動してくるパーツを左側に表示されるターゲット(数字)にぶつけることによりターゲットを消して、得点を競うゲーム。
レベルが上がるにつれて、パーツの移動する速度が速くなったり、消さなければならないターゲットの数が増えたりと、レベルクリアーが難しくなる。
すばやい「判断力」と「思考力」が要求されるゲームである。


AG-130 (TENNIS) (Casio)

テニスゲームの付いた電卓。電卓と対戦するブロック崩しに近いゲーム。


WN-100 (Wondertopia) (Sharp)

1981年発売されたゲーム電卓。体調・反射神経テスト、サイコロ振り(電子サイコロ)、コイン投げ機能が付いている。
アルカリマンガン電池2個あるいは酸化銀電池2個使用。600〜1000時間使用可。
幅65×奥行118×高さ7.5mm。75g。3,900円。





WN-104 (Wondertopia) (Sharp)

1982年に発売されたゲーム電卓。
四柱推命占い機能が付いている。
4,900円。

WN シリーズ
WN-100 スロットトライ
エレクトロダイス
エレクトロコイン
1981年\3,900
WN-101パズル電卓1982年\3,900
WN-102デジタルスパイU1982年\3,900
WN-103 時計付
デジタルスパイT
1982年\4,500
WN-104四柱推命占い1982年\4,900
WN-105出世街道1982年\4,900
WN-106戦略思考ゲーム1982年\4,900


JE-355 (Panac 355) (Matsushita)

ゲーム電卓。STATION ATTACK というゲーム機能内蔵。
66(W)×113(D)×8(H)mm。重さ約55g。
4,900円。日本製。


Black Jack (EPOCH)

1978年EPOCH社から発売されたゲーム電卓。
電卓機能の他 Black Jack ゲームができる。
CPU は NEC D1021C。







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