東芝デスクトップ電卓

東芝は1951年手動型計算機を開発し、1956年に電動型、1961年にわが国最初のテンキー式電動加算機を開発した。

電卓については、シャープの電卓が発売された1964年の夏以降10名程度のグループを作り開発を進め、翌年12月にはテンキー式、重さ18kg、価格38万円の第一号電卓BC-1001 を発売した。この最初の機種は10桁表示式、回路はすべてトランジスタ、ダイオードが主体で部品も数千点に及んだ。
その後、東芝は、メモリーについて他とは異なる独特なコンデンサー・メモリーの開発を進め196611月にBC-1411 を商品化した。
1968
11月にはMOS-ICを採用し、部品点数、消費電力を格段に少なくし、重さ3.8kg程度まで軽減した電卓を発売した。
また1970年には3チップLSI機を開発し、その後1971年に1チップLSI2電源方式で表示は多桁蛍光管を使用し部品を数十点にしたポータブル電卓を発売した。
このように東芝は早い時期から電卓市場に参加したが、東芝の場合、当時型を変えることはプレスや段取りなどでかなり費用がかかることからあまり多くの型の変更を行わず、商品構成の面でシャープやカシオに対し遅れをとることになった。

東芝ポケット電卓

 

東芝の電卓のラインアップ

発売年

機種

価格

備考

1965

12

BC-1001

380,000 yen

東芝の最初の電卓。

1966

11

BC-1411

390,000yen

14桁+1メモリー。

1967

6

BC-1201

219,000yen

トランジスタ式の小形、低価格、普及機

BCT-1211

2,100,000yen
(8set)

世界で初めてタイムシェアリング(時分割)を採用したマルチコンソール形の計算機(Multiconsole small computer)。
演算回路のある本体と数台のコンソールが連結し、タイムシェアリングにより独立して計算ができた。
本体とコンソール8台が一体として販売された。

1968

4

BC-1412

270,000yen

BC-1411を小型化し、デザインも一新した。

BC-1621

350,000yen

一般事務計算機能および統計事務技術計算機能が付いた高級万能機。
16桁+2メモリ。

7

BC-1622

-

技術計算機能および金利計算機能が付いた最高級機。
16桁+2メモリ。

11

BC-1401

360,000yen

MOS-IC TM4004Mシリーズを使用。
本格的なIC化電子式卓上計算機。

1969

1

BC-1413P

-

東芝初のプリンター電卓。
BC-1412にプリンタ機能を付加。

6

BC-1211S

125,000yen

東芝が開発したLSIを採用。
小形、軽量な普及機。
売上計算、見積計算、伝票計算などに適したモデル。

BC-1202

135,000yen

東芝が開発したLSIを採用。
小形、軽量な普及機。
一般計算事務に適したモデル。

10

BC-1212

155,000yen

実用形万能タイプ。
12+1メモリ。

BC-1623G

260,000yen

プログラミング可能な高級万能機。
16桁+2メモリ。

1970

-

BC-1414

-

-

BC-1421

-

BC-1414に1メモリ追加。

BC-1002

-

東芝が開発したLSI(3チップ型)を採用し、小型、軽量化を実現。
10桁表示。

BC-1624

-

-

BC-1625

-

BC-1624に開平機能を追加。

11

BC-1415P

-

BC-1413Pの後継。
サブトータル、グランドトータル、連続加算などの新しい機能を電卓としてはじめて採用した。

-

BC-1422P

-

BC-1415Pに1メモリを追加し、印字速度を大幅に向上させた。

1971

-

BC-1215

-

東芝が開発したLSI(2チップ型)を採用。

BC-0801B

-

トスカルシリーズで最初にバッテリーを内蔵したコードレス、ハンディタイプ電卓。
演算素子は1チップLSIを採用。

BC-1216P

-

新開発の小形ラインプリンタを採用し、小形、軽量化を計った。

BC-1491GR

-

128ステップのプログラムを内蔵できた。
プログラムはキーボードから入力する他、マークカードリーダを利用することもできた。

BC-1217

55,000yen

豊富な仕様を備え低価格、使いやすさ、見易さを特に重点的に考慮して開発された。

BC-0802

-

-

BC-0803B

37,500yen

BC-0801Bの後継機。
演算素子にC-MOSを採用し低電力化を図り、バッテリ使用時間を35%アップさせた。

BC-1421G

-

-

7

BC-1011

115,000yen

BC-1002に1メモリーを追加。
機能別に3つの専用キー(AAキー、Tキー、Sキー)を追加。

-

BC-1215B

-

BC-1215のコードレスタイプ。

1972

3

BC-0805

-

-

BC-1218P

98,000yen

会社や金融機関における事務計算機用として開発。
12桁+1メモリ、%キーが付いたプリンタ電卓。
新開発のラインプリンターにより印字音を大幅に低減した。

12

BC-1492PR

-

プログラマブル電卓BC-1491GRの後継機種。
科学技術計算および新規高等学校数学教育用として開発された。

 

 

BC-1001

196512月に東芝が初めて発売した電卓(京浜、京阪神地区、全国発売は19664月から)。
テンキー式10桁。
自社で開発した高性能トランジスタを使って完成させた。
239(H)
×403(W)×458(D)mm
重量 約18kg
定価     375,000円。
現金定価  360,000円。
あやまって破損しても保障する動産総合保険が付いていた。


東芝のマスコット東芝エスパー


BC-1411

 196612月に発売された東芝2代目の電卓。141メモリ。価格は390,000
(月賦定価 420,000円)だった。

技術的にはメモリー部分に初めてコンデンサー・メモリーを採用することで部品点数の削減、小型化を実現した。

外観はキーボード部分にディスプレイ部分が載った形をしているが、内部は8枚のキーボードが垂直に並んでいる。スマートに見せるための工夫で、初期の電卓の中ではデザインが秀逸。


日本経済新聞 19666.12.8.

 

 

 



→ 基板


Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

BC-1201

19675月に発売された東芝初期の12桁オールトランジスタ製デスクトップ電卓。自社製の高性能トランジスタ、ダイオードを使用した当時としては世界トップレベルの小型機。

332(W)
×419(D)×202(H)mm
当時の定価(現金定価) 219,000円。


日本経済新聞 1967.5.8.

 


BCT-1211

19675月に発売された世界で初めてタイムシェアリング(時分割)方式を採用した全IC化の電子式卓上計算機。
本体1台に子機8台を連結することができる。
価格は子機8台がついて210万円だった。


BC-1412

1968年発売された。
充実した演算機能をそなえた標準機。

310(W)
×408(D)×155(H)mm
当時の価格 270,000円。


日本経済新聞 1968.3.11.


BC-1621

1968年に発売された。
2つの16桁メモリーがついた高級万能機。
当時の価格 350,000円。


BC-1622

1968年発売された。


BC-1401

1968121日に発売された東芝最初のMOS-IC 搭載電卓。ICの中でも集積度の高いモスICを全面採用することで、トランジスタ、ダイオード、コンデンサーなどの回路部品を一挙に200分の1にした。
重さはわずか3.8kg で、引き出しにすっぽり入るコンパクトタイプ電卓。
部品数の大幅減少で内部構造がスッキリし故障しにくくなった。
数字とキーが同一平面で見ることができるため非常に読み取りやすくなった。
小数点は浮動、指数両用可能。
表示窓は角度調整機能と特殊偏光版の採用で反射光を2重に防止した。
東芝だけの動産総合保険が付いており、盗難、火災、取扱い不注意による破損などにも対応した。
当時の価格は190,000円。



BC-1401
の仕様

桁数

表示14桁、置数14桁
加減算:14桁

小数点方式

浮動、指定(指定位置0,2,4,6桁)
小数点方式

演算素子

MOS-ICTrD

クロック・パルス

25KHz(Kc)

電源
消費電力

AC100V(使用範囲85110V)
11W

大きさ

289(W)×365(D)×155(H)mm

重量

3.8kg


日本経済新聞 1978.12.5.
米国で投票経過を分析するのに用いられた。


取扱説明書
<操作キー説明>

 

 

 


BC-1413P

1969年に発売された。
計算と記録が同時にできるプリンター付き電卓。
当時の価格 370,000円。


BC-1211S

1969年に発売された。
除算機能をなくしたことで121メモリーで125,000円という当時最も安い価格を実現した。
売上計算や伝票集計の多い一般の商店や医院、家庭向けの電卓。



220(W)
×285(D)×111(H)mm
2.8kg

125,000
円。



Photo courtesy : Mr.Toshifumi Yamamoto

BC-1202

1969年にBC-1211Sとあわせて発売された。
BC-1211S
と異なり除算機能は付いているが、メモリー機能をはずすことで135,000円という価格を実現した。
煩雑な計算事務を行うオフィス向けの電卓。



220(W)
×285(D)×111(H)mm
2.8kg

135,000
円。


日本経済新聞 1969.4.30.


BC-1212

1969年に発売された。
当時の価格 155,000円。


BC-1612

1970年に発売された。
当時の価格 198,000円。


BC-1213

1970年に発売された。

価格は右のパンフレットでは139,000円と記載されているが、電子科学では198,000円となっている。



→電子科学1970年7月号記事





Photo courtesy : Mr.Martin Willemsen

BC-1415P

1970年に発売された。
高速ラインプリンター方式を採用した。
LSI
14桁・メモリー・定数スイッチなどあらゆる機能を備えた超高性能実用機。
284(W)
×450(D)×149(H)mm10kg
220,000
円。

 

日本経済新聞 1970.8.22.

東芝トスカル BC-1415P


<スペック>


BC-1414

BC-14141971年発売された14桁の卓上電卓シリーズの1つ。
デザイン的には丸ボタンでキャリングケース付いているなど非常にレトロ感あふれるものになっている。
220(W)
×311(D)×115(H)mm。重量 3kg
当時の価格145,000円。

BC-1414
 汎用機
BC-1421
 BC-14141メモリ追加したもの
BC-1415P
 ラインプリンタ方式を採用したプリンタ機種
BC-1422P
 BC-1415P1メモリ追加するとともに印字速度を大幅に向上させたもの




Courtesy of Mr.T. Hirano

 

 


BC-1421

1971年に発売された。
当時の価格 165,000円。

 



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

BC-1002

BC1002は、BC-1011と同じく1971年に発売された10桁シリーズの卓上計算機である。演算素子としては東芝が電卓用に独自に開発したLSI3個使用し、安定した性能とコンパクト化を実現した。
BC-1002
は、手や指の大きさに合わせたB5版「ジャストサイズ」で、表示は10桁だが14桁まで計算ができ、価格は95,000円と当時の携帯型と比べ少し高いだけであった。表示部分にフードを付け、表示部をみやすくするとともに、開閉と同時に電源がオンオフするようになっていた。
BC-1011
は、BC-10021メモリを追加したのものでキーが3個(AAキー、Tキー、Sキー)多く付いている。
182(W)
×257(D)×88(H)mm。重量 1.9kg

 

 


Source : Joerg Woerner

BC-1011

19715月に発売された。
ジャストサイズ電卓 BC-1002 1メモリを追加したもの。
東芝が初めて電卓用として量産化に成功した「汎用LSI」を使用している。
特徴として、表示桁数は10桁だが、演算結果が10桁を超えた時はキー操作で表示数を右へ1桁ずつシフトすることで最大14桁まで演算できた。また、「AA」キーをロックすることで累計計算ができた。
サイズ 182(W)×88(H)×257(D)mm。重量 1.9kg.
115,000
円。

 


Inside of BC-1011


BC-1625

1971年に発売された。

 



BC-1422



Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

BC-1215

LSI電卓。

154(W)
×227(D)×54(H)mm1.2kg



Courtesy of Mr.T. Hirano



BC-1216P

1971年に発売された。
当時の価格 149,800円。

 


<スペック>


BC-1491GR

1971年に発売された。


BC-1421G

1971年に発売された。
当時の価格 190,000円。


BC-1492PR

1972年に発売された。

 


BC-1217

1973年に発売された。
当時の価格 55,000円。


BC-1424

 

 


BC-1218P

1973年に発売された。
当時の価格 98,000円。

 


Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

HOMELAND 1211

1973年に発売された。

 

HOMELAND-1213P/1214V

 


Photo courtesy : Mr.Toshiro Hata

HOMELAND 1212S

1973年に発売された。

HOMELAND-1216