ノート型コンピュータ (Clamshell type computer)






T1000 (Toshiba)

1985年東芝が輸出専用モデルとして発売した世界で最初のラップトップパソコン。
当時としては非常に軽量で持ち運びがしやすかったが、日本語は使えなかった。












DynaBook SS001/SSW01

 DynaBook は1989年に発表されたブック型コンピュータ。
 マイクロコンピュータに低消費電力型の80C86を採用し、従来のJ-3100シリーズと互換性を保った高機能マシンであるにもかかわらず、A4サイズで重量は2.7kgと軽量で、しかも価格が198,000円と当時のパソコンの相場と比べ安かったことから爆発的にヒットし、その後のパソコンの原型となった。

 "DynaBook"はアランケイが提唱した新しいコンピュータの概念。米国では当初DynaBookという名称を使えなかったことからT1000SEという名前で販売された。

ダイナブックに対抗し、 NEC は11月に「ノート型」と称してPC9801N を発売した。しかしスペックはブック型と全く同じだった。

 ダイナブック本体の色はグレーだったが限定品として一時期白のタイプが発売された。これはそのマシン。


アラン・ケイとDynabook

1960年代後半ユタ大学の博士過程でコンピュータ科学を専攻していたアラン・ケイは、あらゆる年齢層の人間一人一人が使いこなす個人向けコンピュータの理想的姿を"Dynabook"と名づけたイメージに纏め上げた。具体的には、大きさと形は、通常のノート程度。キーボードと平面型のディスプレイを備え、その解像度は最低限新聞印刷並み。音も通常のオーディオ装置のレベルをクリアし、ユーザが操作して反応が遅れて返ってきてはならないというリアルタイム性を実現するものである。
彼は、博士課程終了後、スタンフォード大学の人工知能研究所を経て、1970年ゼッロクスが新設したパロアルト研究所に移り、ここでミニコンを暫定版の"Dynabook"のハードウェアに見立て、その実現に努力し、この作業を通じマウスによる操作方式やアイコンと呼ばれる絵文字を用いた表示方式を開発した。この技術はその後、アップルコンピュータのリサに全面的に採用され、マッキントッシュによって広く普及された。
東芝のDynabookは、アラン・ケイが掲げた理想像をハード面から追求したマシンということもできる。

Libretto 20

 1996年4月に発売されたミニノートパソコン。イタリア語の小さな本(Libretto)という意味にふさわしく、大きさはA4サイズの約3分の1(VHSテープの大きさ)、重量は約840gと、Windows95を搭載したパソコンとしては当時世界最小、最軽量を実現した。CPUはAMD製の486DX4 75MHz相当品を使用。
 性能面では、65,536色同時表示が可能な6.1型TFTカラー液晶ディスプレイ、特製の超薄型2.5インチ270MBのHDD、片手で操作可能な新型ポインティング装置などを採用し、PCMCIA準拠のPCカードスロットやIOアダプタなども装備されるなど驚くほど機能を凝縮したマシンとなっていた。
 リチウムイオンバッテリーは最大3時間使用可能で、オプションの大容量バッテリーは6時間使用可能であった。
 価格は198,000円(インストールモデル)。





FM16π (Fujitsu)

1985年に発売された富士通の最初のハンドヘルドコンピュータ。A4 サイズで2.9kg。CPUに 8086(5MHz) を使用し CP/M(ROM)とマイクロカセットを搭載している。ディスプレイは 640×200 dots。価格は195,000円と当時としては安かった。初期の16ビットラップトップマシン。



PC286L STD-S (EPSON)

EPSONが1987年発売したPC9801シリーズとの互換性の高い最初のラップトップコンピュータ。NECではなくEPSONが発売したことで当時話題になった。STD-S、STD-N、H10-N(10M Hard Disk)の3種類が発売され、累計で10万台以上出荷されたといわれる人気機種。
見た目はあまりかっこ良いとはいえないが、ディスプレイ部分をはずしCRTにつなげることによりディスクトップマシンとしての使い方もできるよう工夫されている。私も長年CRTにつないで使用していた。
345×335×86mm、6.6kg。

館長談:
PC286Lは私が最初に購入したコンピュータです。当時仕事の関係でロータス123という表計算ソフトをはじめて使いその便利さに感動しパソコンを購入することに決めました。当時、パソコンはデスクトップが主流でノートパソコンはほとんど販売されていない中で当時主流であった98シリーズのソフトを動かすことができるということでこの機種を購入することに決めました。まだ平で給料の少ない私にとってパソコンを買うというのは清水の舞台から飛び降りるほど勇気のいる行動でした。パソコン誌の広告欄をいろいろ調べ、千葉県市川市行徳にあったステップという会社にいきボーナス払いの手続きをして購入しました。定価は31万円でしたが実売価格は20万9千円でした(シリーズで他にバックライトの付いたタイプやハードディスクが付いたタイプがありましたが、私には高嶺の花でした)。
この機種は携帯型ではありましたが、カラー対応のソフトにも対応できるよう上の液晶部分をはずしカラーモニターに接続することでデスクトップパソコンとしても使うことができました。
また、ソフトはすべてフロッピーディスクから読み込む方式でしたので、ソフトの読み込みや辞書変換に時間がかかりました。それを解消するため当時非常に高価なRAMディスクを購入し、そこにソフトを搭載したりしました。限られたメモリー(確か2Mだったと思います)にどのファイルや辞書を入れるかいろいろ頭を悩ませたりしました。パソコンが出始めたころのいい思い出です。



TRS-80 model 200 (Tandy)

model 100 を、16行表示にし、折りたたみ型に変更したもの。1985年製造。

PC-8201/TRS-80 model100 Famiry
PC-8201日本で発売されたモデル。アイボリーホワイト、メタルカラー、ワインレッドの3色のモデルがあった。
PC-8201aNECがアメリカで販売したモデル。
PC-8300NECがアメリカで販売したモデル。32KbiteRAM標準搭載。モデムを内臓可能。
TRS-80 model100アメリカでの標準モデル。モデム内臓。8KbiteRAM。
TRS-80 model102model 100 よりやや薄く軽量。24KbiteRAM。
TRS-80 model20016桁表示のできる折り畳み型の液晶ディスプレイに変更。
Olivetti M10オリベッティから販売されたモデル。米国版と欧州版がある。
Kyotronic 85
(KC-85)
京セラブランド(KYOSEI)で販売されたモデル。非常に稀少でその存在もあまり知られていない。



Mobile Gear MC-K1 (NEC)

Mobile GearはNECのパーソナルコミュニケータ。
単三2本で駆動。


Mobile Gear MC-CS12 (NEC)

Mobile GearはNECのパーソナルコミュニケータ。
MC-MK22,MC-MK11,MC-MP11 は通信機能が強化された携帯情報端末。
MC-CS12 及びMC-CS11 はWindows CEを搭載したマシン。

Mobilegear MC-CS12 は、Microsoft Windows 95に近い操作性やシームレスなデータ連携を可能としたOS Microsoft Windows CE オペレーティングシステムを搭載している。

価格
MCS-CS12(モデム内臓) 89,000円。
MCS-CS11 73,000円。






テリオス (Telios HC-AJ1) (Sharp)

1999年3月にシャープから発売されたウインドウズCEマシン。




PC-5000 (Sharp)

PC-5000 は1985年発売された。日本製ハンドヘルドコンピュータとしては初めてメインCPUに16ビットCPU8088を使ったコンピュータである。MS-DOS及び日本語ワープロ"TOOLPLAN"を搭載。オプションで熱転写式サーマルプリンターを内蔵可能。このプリンタは電池駆動ができるので本体とともに戸外で使うこともできた。LCDディス80桁×8行、グラフィックは640×80ドットの表示ができ、40桁×4行の漢字を表示することもできた。電源は6Vの鉛蓄電池が標準で用意されこれにより約6時間の戸外使用が可能だった。キーボードの上に、磁気バブルメモリー(128Kバイト)用のスロットがある。磁気バブルメモリーは、フロッピーディスクと比べ、ショックに強く、電気をくわないといったラップトップコンピュータでの使用に適した利点を持っていた。重量は本体のみで4.3Kg(電池含む)の重さがあり、プリンタを内蔵するとかなり重かった。

    SPEC OF PC-5000
CPU Main CPU:8088(16bit)
Contorol CPU 8bit
LCD Scren 224(W)×32(H) mm
English 80 characters×8 lines
Japanese 40 characters×4 lines
Graphic 640×80 dots
Power Supply
Main Power Supply - Sealed Battery and AC adapter
Staying power - 6 Hours
Size326(W)×305(D)×87.5(H)mm
Weight4.3kg
PC-5000のパンフレット

マニュアル

磁気バブルメモリー用スロット
プリンターがついている
本体裏面
Magnetic bubble memory
CE-100B

PC-98HA (Handy 98) (NEC)

1990年発売された。愛称は"Handy 98"。B5 サイズ、重量は1.1 kg、 CPU は V50(10MHz)。バッテリーで7、8時間駆動可。出先で使用すること、電気を節約するため、NECは98ではないシステムを使った。そのため98のソフトが使えずやがて市場から消えていった。しかし、これに愛着を持っている人も多い。ある意味では最初のモバイルマシンともいえる。今みても非常にラブリーなマシンである。

Handy 98の広告


WS-1 (Ampere)

WS-1 は 1985年、Ampere 社によって設計され 日本信号により製造された世界最初の APL(A Programming Language) ラップトップコンピュータである。CPUには68000(8MHz) を使用し手前にマイクロカセットを装備している。また、マルチタスク OS "BIGDOS"を内蔵している非常にユニークなマシンである。しかし、最もユニークなのはマシンのスペックよりそのデザインである。一見昔のシトロエンのように見えるが、ディスプレイを閉じたとき翼の断面のような形は非常に奇抜かつ未来的で、とても20年前作られたものとは思えない、後世に残すべき優れたデザインである。
サイズは330(W)×280(D)×92(H)(mm)。重量は 4Kg。当時の価格は45万円。"Ampere"社は、現在新宿にあるが、倉庫に残っていた最後の一台を当博物館に寄贈して下さった。




Macintosh Portable (Apple)

Macintosh Portable はApple社が発売した最初のポータブルコンピュータである。しかし実際はポータブルというにはあまりに大きいマシンで重量も16ポンドもある。1989年に発売され価格はなんと998,000円もした。
1MB RAM (5 MBまで拡張可),40 MB HD, 1.4MB フロッピードライブ、アクティブマトリックススクリーン(non-backlitタイプ)及びトラックボール(この機種で初めて採用された)から成る。その後、バックライトタイプも発売される。白で統一された斬新なデザイン、今でも古さを感じさせない。アップル社のパソコンは芸術品であるとの考え方のもと、本体の内部には開発者のサインを刻んでいる。魅力的なマシンである。


Portableのネームプレートについていたデザイン







Compass (GRiD)

ラップトップタイプのコンピュータでGRiD社は最も重要なメーカーの一つである。GRiD社は世界で最初に貝殻型のデザインをコンピュータに取り入れた企業であるが、それだけではなく、様々な機能を世界で最初にラップトップコンピュータに導入した企業でもある。
TEMPEST : 世界で最初のポータブルTEMPEST コンピュータ。
GRiDCASE 1200 series : 世界で最初の電池駆動ラップトップコンピュータ。
GRiDCASE 1255 : ISA expansion cards を装備した世界で最初のラップトップコンピュータ。
GRiDCASE 1550sx : ポインティングディバイスのある世界で最初のラップトップコンピュータ。
GRiDCASE 1580 : Pentium PII processor と14.1" display を装備した世界で最初のラップトップコンピュータ。
また、GRiD社の Compass は初期のスペースシャトルで使われたことでも有名。当時のマシンはワシントンの航空宇宙博物館に展示されている。





ワシントン航空宇宙博物館のスペースシャトルコーナー(1999年4月撮影)
展示品の説明左の黒い物体がGrid Compass。


YDO type

Palm Top PC 110

IBMが1995年に発売したA6サイズ、厚さ33mm、重さ630gのパームトップマシン。CMでウルトラマンが出ていたことから「ウルトラマンPC」とも呼ばれる。
CPUは486SX(33MHz)、RAM8MB、640×480の256色カラー液晶、PCMCIAスロット×2、PCM/FM音源、FAXモデムまで内蔵。キーボード左上のPointing Head と呼ばれるボタンがポインティングディバイス、前面には通話用のスピーカとマイクがありコネクタに電話線をつなげれば受話器としても使えた。ボディはジュラルミン製。

PC110のタイプ
2431-YD0 最小構成のモデル。
メインメモリが4Mなので主にDOSで使う。
2431-YD1 YD0のメインメモリを8Mに増設したモデル。
Windows3.1が動作する。
2431-YDW YD1に340MのHDカード、ポートリプリケーター、FDドライブを追加したモデル。
Windows3.1がインストールされている。
2431-YD1S T−ZONEが発売したモデル。
YDWからHDDカード、ポートリプリケーター、FDドライブを取り除いたモデル(仕様的にはYD1相等だが、付属品が若干異なる)。
2431-YDT T−ZONEが発売したモデル。
メインメモリが20MでWindows95がインストールされている。
オプションの構成はHDカードのみでポートリプリケーター、FDドライブは付かない。
実物大解説図









パンフレット

QUADERNO 33 (Olivetti)

1993年秋発表されたA5サイズノートパソコン。
日本オリベッティの日本市場再参入の際のフラッグシップマシン。巨匠マリオ・ベリーニによる独特のデザイン、スペックで人気が沸騰し、現在でも根強い人気を誇る。

基本的に英語DOS/Windows3.1マシンであるが、Win/VのインストールによりOSレベルは英語のままで日本語環境を構築できた。

キーボード右上がトラックボール、左上にはテンキーが配置されている。B5サイズでテンキー内臓は非常に珍しい。真ん中にはディスプレイがついており時刻やバッテリー残量が表示される。フタが閉まっても見える構造になっている。中央部分、へその位置にパワースイッチが付いている。

ふたを閉じるとボイスレコーディング用のHDD録音/再生ボタンがついており、4時間の録音が可能。
後部にはシリアル、パラレル(外部FDD兼用)、外部ディスプレイの各ポートの他、FAXモデムポートも標準装備。右サイドにはICカードスロットが付いている。

サブノートブックもオリベッティが作るとこうなるというオリベッティ社の自信作。

CPU:AMD386SXLV/20MHz、RAM:4MB、HDD:60MB。バックライト付VGA液晶モニターを装備。
24万8000円。日本製。

QUADERNOについての情報は olivetti maniax! を参照。