Intel CPU (4004以外)

 1971年にインテルから発売された4004 は、米国内の業界で大きな反響を巻き起こした。4004の基本仕様がほぼ完成した1969年の暮れ、IntelはComputer Terminal Corp (後のDatapoint社) のターミナル向けに文字情報も扱えるようにした8bitアーキテクチャーのCPU開発にも着手する。しかし、同社の要求にはこたえることができず、開発は一時中断した。しかし、精工舎の依頼で開発を再開し、1972年に初の8bit CPU、8008の開発に成功する。8008はターミナルや電卓、各種入出力制御などに利用されたが、基本的には4004を8bitにしたものであり、端子の数が16ピンと少なく、ふつうのデータ処理に使うには不便なところが多かった。
 そこでインテルは4004の開発にたずさわった嶋氏をリコーからスカウトし72年暮れから開発に着手し、1974年8080を完成させた。8080は4800個のチップを集積した本格的なマイコンで、当時350ドルという非常に高価な価格で販売された。このCPUの登場によりパソコンの可能性が一気にふくらみ、数々の挑戦が開始された。1975年に発売された世界で最初のパーソナルコンピュータ「アルテア」や翌年発売された「IMSAI」はともに8080を使用したマシンである。また、当時19歳だったビル・ゲイツは、大型コンピュータ上に擬似的な8080マシンの環境を作り上げ、そこで8080用のBASICを開発し、MITS社に販売した。また、国内では、NECは1976年に8080互換のCPUμCOMシリーズを搭載したTK-80を発売し大ヒットを得るなど8080は国内のコンピュータブームにも大きな影響をもたらした。
 その後インテルは、引き続き80シリーズとして、処理速度と内部の記憶容量を向上させた一連のチップを発表し、マイクロプロセッサ事業における巨人に成長していくが、8080は汎用コンピュータの頭脳となりうる処理能力をもった初のマイクロプロセッサとして非常に大きな役割を果たした。8080には、開発者である嶋家の家紋が刻まれている。



4040


8008

1972年4月発売された最初の8ビットのマイクロプロセッサ。データポイント社のインテリジェントのターミナル用に作られた。しかし、スピードが遅く、メモリーも足りないことからあまり使われなかった。

8080

1974年4月発売された、パーソナルコンピュータの発達に大きな影響を及ぼした。



D8085AH



D8086



D8088-2







4001AD,4009AD


Pentium





Electronics誌1972年11月に掲載された8008の広告。


Z80 (ZILOG)

4004や8080と同様スミソニアン博物館に歴史的電子部品として展示された初期のマイクロプロセッサ。
オイル・ショックの影響が半導体業界に押し寄せる中、嶋正利はファジンの誘いで1975年インテル社をやめザイログ社(当時の名前はアンガーマン・アソシエート)に移り、8080の改良型CPUの開発に着手し、翌年1975年3月にZ80を開発し発表した。Z80は、8080より処理速度が速く、また、フロッピーディスクとのインターフェイスのために、256バイトや512バイト単位でのデータ転送、I/Oとメモリとの間のブロックの転送ができるようなストリング系の命令が使えるようになっているなどパーソナルコンピュータでの使用を意識したものであった。



※ZILOGの名前は「最後に世の中に設立される、集積論理のためのLSIシステムを開発・製造・販売する会社」(Z Integrated LOGic ) からきている。


BYTE magagine MAY 1982
19714004

4bit
19728008

8bit
19748080

8bit
1975
6800
8bit


MCS6502
8bit
19768085

8bit



Z80
8bit
19788086

16bit
19798088

16bit


68000
16bit


6809
8bit



Z8000
16bit
198280186

16bit

80286

16bit
1983
68010
16bit


68020
32bit
198580386

32bit
1987
68030
32bit
198880386SX

32bit


88000
32bit
198980486

32bit


68040
32bit




Z80 CPU (ZILOG)

ZiLOG
Z0840004PSC
Z80 CPU
9249 H6

Z80 CPU (MOSTEK)

MOSTEK C 8245
MK3880N-4
Z80 CPU

Z80 CPU (ROHM)

抵抗器メーカーのROHMが作ったZ80。
ROHM
BU18400H-PS
Z80H CPU 710 543

D8255AC-5 (NEC)

NEC JAPAN
8612E5
D8255AC-5

D780C-1 (NEC)

Z80AコンパチブルCPU。
NEC JAPAN
8433X5
D780C-1

Z80 DMA (ZILOG)

Z80 DMA はZ80 システムにDMA 機能を付与するためのファミリLSI。
ZILOG
Z8410A PS
Z80A DMA
8304R

Z80 DM (ZILOG)

ZILOG
Z8410A PS
Z80A DM..
8304R

Z80 PIO (SHARP)

Z80 PIO はZ80 システムにパラレル入出力を付与するためのファミリLSI。
LH0081 Z80-PIO
SHARP 245DB

Z8 (ZILOG)

ZiLOG Z-8
Z088002OPSC
SUPERR8 ROMLESS
SYSTEM ON SILICON
9215

Z80 CTC (ZILOG)

Z80 CTC はZ80 システムにタイマー機能を付与するためのファミリLSI。
ZILOG
Z8430A PS
Z80A CTC
8304

Z80 CTC (SHARP)

LH0082B Z80B-CTC
SHARP 266DB



システム/360 の半導体回路 (IBM)

IBMが1964年製造したシステム/360の半導体回路。SLT(固体論理技術)という技術を用い、1/2インチ(約1.27cm)四方のセラミック・モジュールに半導体回路とその配線が搭載されていた。IBMはこの技術を使うことで個別のトランジスターを使った回路技術と比べ密度、速度、信頼性、消費電力などいずれの点においても格段に優れた性能を実現させた。







TMS-1000 (TI)

TMS-1000は、1975年ごろ発売されたチップである。
ビジコン社とINTEL社は1969年4004を開発したが、4004はいわゆる中央処理装置部分がIC化されており世界で最初のマイクロプロセッサといわれた。しかしこの段階ではICの集積度はまだ低く、周辺回路は内臓されていなかった。1972年にインテル社は8008を開発し、1975年にテキサス・インスツルメント社がTMS-1000を開発するが、この頃には周辺回路が内蔵されるようになって、マイクロコンピュータと呼ばれるようになった。TMS-1000はTI社が開発した、世界で最初の「ワンチップマイクロコンピュータ(ワンチップマイコン)」の一つである。
このチップができるまでは電卓の製造には高度な設計技術と製造技術が必要とされたが、電卓用回路がすべてチップの中につくり込まれたこのチップが発売されると、電卓は小さな町工場で容易に製造できるようになり、4畳半メーカーが雨後の竹の子のように発生した。電卓市場は回路設計の良し悪しではなく、このチップの使用を前提にいかに安い電卓を製造するかの争いになった。