日立デスクトップ電卓 (Hitachi desktop calculator)

日立は、当初コンピュータを開発していたが、シャープ、キャノンの電卓に刺激され、一部の研究者が1965年ごろから電卓の開発に着手した。
1966
3月に12桁のテンキー式の試作機を完成させ、1967年からはエルカシリーズとして電卓の販売を開始した。

最初に販売したELCA12は、回路にトランジスタに比べ比較的安価で信頼性のあるダイオードを採用した。


型番

価格

備考

1966

3

最初の試作機。

国産初の全MOS-IC250個)電卓。

1967

1

ELCA12

239,000yen

日立が最初に販売した電卓。
回路にはダイオードが使われた。

米国フリーデン社にOEM輸出されSINGER EC-1112として販売される。

1968

 

ELCA16

 

16桁表示+1メモリー+開平機能

7

ELCA22

239,000yen

MOS-IC化電卓。

1969

2

ELCA26

298,000yen

16桁では国産初のオールMOS-IC機ならびに最小のボディーサイズを実現し、オフィス、銀行、設計事務所、研究所などに最適な機種として好評を得た。


16桁表示+2メモリー(完全な数式どおりのキー操作)+開平機能

8

ELCA24

 

3レジスタ採用の完全計算方式、自動小数点方式(ナチュラル・デジマル・システム)、オートシフト機構(日本初)、マイナス符号などの新機能が装備された中級機の決定版として開発された。14桁+1メモリー、中級機

11

ELCA32

138,000yen

「ソロバンの手軽さ、電子のスピード」を謳い文句に、エルカシリーズの特長をそのまま生かしシンプレックス・タイプとし事務計算用の簡易形計算機として発売された。

 12

ELCA26D

 275,000yen

ELCA26の機能強化モデル

1970

1

ELCA24C

245,000yen

ELCA24に金利計算用特殊キー(Sキー)を搭載、おもに金融機関、経理関係向けに発売した。

6

ELCA34P

 

ELCA24にプリント機能を加えた日立最初のプリンタ電卓(ラインプリンタ)で、経理関係、技術関係に最適な設計となっている。

ELCA46

 

エルカ40シリーズの第一弾として開発、わが国初の純国産LSI(HD3200シリーズ)電子式卓上計算機で、従来は5枚の基板が必要だったが、HD3200シリーズにより1枚の基板でよくなり、また新開発の小形表示管を採用することにより小形・軽量を実現した。

8

ELCA8

 

8桁、3レジスタ、自動小数点方式、アンダーフロー方式

12

ELCA32D

 

ELCA32個々の積()和・積()差や、ワンタッチ逆数機能などを追加して機能強化し発売された。12桁+1メモリ、事務用

ELCA34

189,000yen

14桁+1メモリ、事務用標準機

ELCA36

 

16桁+2メモリ、事務用高級機

ELCA36C

 

16桁+2メモリ、金利計算用

ELCA36D

 

ELCA26Dにワンタッチ開平機能やメモリ2個が独立しそれぞれ加減算ができるメモリ機能の追加、加えて一連の計算のトータルを自動的に求めるためのプログラムキーも追加された高機能形で技術計算用に適した計算機として開発された。16桁+2メモリ

1971

4

ELCA42

125,000yen

純国産LSI使用したわが国最初の卓上計算機

ELCA44

145,000yen

純国産LSI使用したわが国最初の卓上計算機

7

ELCA46A

148,000yen

16桁+2メモリ

ELCA46R

158,000yen

16桁+2メモリ+√

10

ELCA46P

 

新たに開発されたHi-LSI採用の、オールLSI化プリント計算機

12

ELCA P100

 

簡単なキー操作で、小形コンピュータと同等の高度な計算が可能な本格的プログラム計算機(このクラスの計算機で国産初)

1972

2

ELCA52

85,000yen

Hi-LSI採用により従来機種に比べ、さらに小形化・軽量化に成功

4

ELCA56

108,000yen

従来のHi-LSIの集積度をさらに向上させた新Hi-LSIを採用することにより、さらに低価格化を実現した。

ELCA5616桁+1メモリ、ELCA56R16桁+2メモリ+√

ELCA56R

128,000yen

 

 

 

 

Photo courtesy : Mr.Tomoki Kamimiya

ELCA 12

19671月に発売された日立の初代電卓。
ソロバンの手軽さ、電子のスピードをモットーに開発されたもので、誰にでも簡単に使えるように、自動小数点方式、+−符号表示方式を採用、操作キーを少なくしている。
演算内容は、加減乗除、連乗除、定数乗算、精密除算、積和積差、各種混合計算が可能であった。
回路にはトランジスタに比べ比較的安価で信頼性のあるダイオードを中心としたDTL方式の回路が採用されている。
定価 239,000円。
当時、当初月産500台、夏ごろには1000台生産の予定とのことだったか実際何台生産されたかは不明

発売元はプラス。
また、米国フリーデン社にもEC-1112としてOEM供給された。

<仕様>
入力 10キー、ファンクションキー8
表示 数字放電管による12桁表示および+・−符号表示
演算内容 加減乗除、混合計算、連乗連除、定数演算、精密計算、積和積差、完全自動小数点、+・−符号表示
寸法 幅38cm×奥行50cm×高さ23cm
重量 13kg
電源 AC 90110V , 50/60Hz 消費電力 40W


日本経済新聞 1967.1.18.
発売予告の広告 この時点では"TEC-12"
という名前が採用されていたが実際の
発売時には"ELCA 12"になっていた。

 

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ELCA 16

196710月に発売されたELCA 12の後継機。
新たな機能は、
16桁・メモリーつき
・切りすて・四捨五入
・開平・自乗計算
・積和計算、商和商差
・定数計算
・メモリーを使った混合計算

339,000
円。


日本経済新聞 1967.10.17.


Photo courtesy : Mr.T.Yoshida

EC1113 (Singer/Friden) (ELCA 22)

Friden 社はかってFriden 130 を製造販売した電卓分野の老舗企業であったが、時代の波に勝つことができず Singer 社に買収され、同社の電卓販売部門となった。
この EC1113 はこの Friden 部門が販売した電卓。実際の製造は日立が行ったOEMマシン。
国内では日立ブランドの ELCA22として販売された。

ELCA22
は、1968年7月に発売されたMOS-IC電卓。106個のMOS型トランジスタ、MOS型ダイオードを搭載している。機能としては、ELCA12の機能に個々の積および積和(差)、オーバーフロー機能、メモリー機能が追加された。MOS-ICを搭載することでELCA12と比べ総部品数では1/5、容積1/4、重量1/3になった。

寸法 幅28cm×奥行36cm×高さ12.4cm
当時の価格 239,000円。


日本経済新聞 1968.5.23.

 


ELCA 26

1969年発売されたIC計算機。
16
桁、2メモリー。

280(W)
×360(D)×124(H)mm
298,000
円。


日本経済新聞 1969.2.10.


ELCA 26D(デラックス)

1969年発売された。
16
桁、2メモリー、3レジスター。
モスLSIを採用し、寿命と信頼性を高めた。
デラックスという名前が付いているが、価格は26より23,000円低下した。

280(W)
×360(D)×124(H)mm
275,000
円。


日本経済新聞 1969.12.10.


Photo courtesy : Mr.Frank Boehm

Friden1115 (Singer/Friden) (ELCA 32)

ELCA 32Singer社へのOEMOEMマシン。

ELCA32
は、1969年に発売された。
当時の価格は 138,000円。


ELCA 24

1969年に発売された MOS-LSI電卓。
世界で最初に「オートシフト機構」を採用した。
また、14桁の数字を14桁で割った時14桁の答えを出すことが可能な、3レジスター方式を採用している。

280(W)
×360(D)×124(H)mm
225,000
円。

※オートシフト機構:固定小数点方式では事前に小数点以下の桁数を設定して計算するが、推定を間違えると分母がゼロになりオーバーフローする。オートシフト機構では、小数点以下の設定を間違えた場合でも、自動的にケタ下げを行うことでオーバーフローを防止することができる。


日本経済新聞 1969.7.25.

 

 

 

内部に貼られていた修理記録

グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト

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ELCA 24C (カスタム)

1970年に発売された14桁金利計算用電卓。
ELCA 24
の機能に金利計算を瞬時に行う「S」キーが付いた。

280(W)
×360(D)×124(H)mm
245,000
円。


ELCA 34P

1970年に発売された。
当時の価格 280,000円。


ELCA 46E


ELCA 46

発売時期は19706月とされているが電子科学の記事では1971年春となっている。
当時の価格 139,000円。

→電子科学19707月号記事


ELCA 32D

1970年に発売された。
当時の価格 139,000円。


ELCA 42 (KK-42)

1971年に発売された12桁デスクトップ電卓。
計算素子は HILSI
他にレジスター3個、メモリー1個使用。
26.5(W)
×30.8(D)×10.0(H)cm
当時の価格 125,000円。

 

ELCA 42 取扱説明書


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12


Photo courtesy : Mr.Masahiro Okada

ELCA 44

ELCA40シリーズは日立が開発したMOSLSIを採用したシリーズ。
ELCA 44
は、19714月にELCA42 とともに発売されたわが国初のオール国産LSI電卓。

ELCA42
121メモリで125,000円。
ELCA44
141メモリで145,000円。
265(W)
×308(D)×101(H)mm3.5kg

ELCA 40
シリーズ

型番

年月

桁数

メモリ

価格

42

19714

12

1メモリ

\125,000

44

19714

14

1メモリ

\145,000

46A

19717

16

2メモリ

\148,000

46R

19717

16

2メモリ√付き

\158,000


ELCA 46A


ELCA 46R


ELCA 46P

1971年に発売された。

 


ELCA P100

1971年に発売された。

 


ELCA 52

1972年に発売された。
当時の価格 85,000円。

 


ELCA 56

1972年に発売された。
当時の価格 108,000円。

 


ELCA 56R

1972年に発売された。
当時の価格 128,000円。

 

エルカ 62


Courtesy of Mr.T. Hirano

HITAC-mini

1971年に発売された「電卓(電子式卓上計算機)のように手軽に使えるパーソナルコンピュータ」。
一見プリンタ付電卓のような形をしているが、中身はストアードプログラム方式を採用した完全なコンピュータであり、コンピュータとして不可欠な機能が卓上型ケースの中にすべてコンパクトに収納されている。

470(W)
×660(D)×220mm30kg




→ 日立評論(1971年31971年7)